- 人工多能性幹細胞 概要
- iPS細胞の作製法
- iPS細胞臨床研究
- 加齢黄斑変性に対する自家iPS細胞由来網膜色素上皮(RPE)シート移植に関する臨床研究
- iPS細胞臨床研究の前段階
- ノーベル医学生理学賞
人工多能性幹細胞[1]は、iPS細胞 (induced pluripotent stem cells:人為的に多能性を持たせた幹細胞[3])、もしくは誘導多能性幹細胞[1]といいます。
体細胞(主に線維芽細胞 皮膚・毛髪など)へ数種類の遺伝子(転写因子[4])を導入することにより、ES細胞(胚性幹細胞[5])*1に似た分化万能性(pluripotency)を持たせた細胞のことです。
iPS細胞の作製法 [6]
生体から得た細胞を培養します。 ウイルスベクターを用いて分化万能性の獲得に必要な遺伝子を導入します。
細胞を一旦集め、ES細胞の培養法に従い、フィーダー細胞の存在下、専用培地で培養する 遺伝子導入された細胞の一部がiPS細胞となり、ES細胞様のコロニーを形成します。
iPS細胞臨床研究の前段階 [12]
- パーキンソン病[13]
- 心不全に対する心筋の移植
心筋梗塞[14]を起こさせたブタに、人のips細胞で作った心筋シートを貼りつける実験を行い、心機能の改善を確認できている。
- 脊髄損傷
- 網膜の視細胞や角膜の移植
人のiPS細胞から網膜色素上皮細胞[15]を十分量作成する方法は完成しており、移植用網膜色素上皮細胞[15]の品質管理の方法の整備、そして移植治療が安全であることを動物実験で確認している。
- 輸血用の血小板や赤血球
安全性は極めて高いといわれている。
血小板と赤血球には核がなく、輸血前に放射線を照射して細菌など核のある細胞を死滅させられる。そのため、iPS細胞で問題になっている奇形腫の発生を予防できる。
人のiPS細胞から血小板を作って、遺伝子操作で拒絶反応を起こさないようにしたマウスに輸血し、止血効果が確認されている。
- 1型糖尿病[16]
iPS細胞から膵臓の細胞をつくる技術が未完成である。
2009年にハーバード大学の研究グループが、1型糖尿病[16]の患者の皮膚細胞からiPS細胞を樹立し、実際に培養皿の上でインスリン産生細胞に分化誘導できた報告がある。
- 腎臓
妊娠3カ月ごろの胎児にある尿を作り始める前の立体的な腎臓の組織を作ることに成功したことを、熊本大の西中村隆一教授と大学院生の太口敦博さんらが2013年12月12日付の米科学誌セル・ステム・セル電子版に発表した。
ノーベル医学生理学賞 [17]
2012年10月8日、京都大学の山中伸弥教授がノーベル医学・生理学賞の受賞が決定されました。
共同受賞者は英ケンブリッジ大のジョン・ガードン博士です。