フルオロウラシル(Fluorouracil) [1]
抗悪性腫瘍剤
- 5-FU注 (製薬会社:製造販売元 協和キリン株式会社)
がん細胞遺伝子の合成や機能を障害することにより、がん細胞の増殖を抑える作用があります。
通常、静脈内に注射または点滴静注します。また、必要に応じて動脈内に注射することもあります。
- 単独で使用する場合
- フルオロウラシルとして、通常、成人には1日5~15mg/kgを最初の5日間連日1日1回静脈内に注射又は点滴静注する。以後5~7.5mg/kgを隔日に1日1回静脈内に注射又は点滴静注する。
- フルオロウラシルとして、通常、成人には1日5~15mg/kgを隔日に1日1回静脈内に注射又は点滴静注する。
- フルオロウラシルとして、通常、成人には1日5mg/kgを10~20日間連日1日1回静脈内に注射又は点滴静注する。
- フルオロウラシルとして、通常、成人には1日10~20mg/kgを週1回静脈内に注射又は点滴静注する。
また、必要に応じて動脈内に通常、成人には1日5mg/kgを適宜注射する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
- 他の抗悪性腫瘍剤又は放射線と併用する場合
フルオロウラシルとして、通常、成人には1日5~10mg/kgを他の抗悪性腫瘍剤又は放射線と併用し、1の方法に準じ、又は間歇的に週1~2回用いる。
- 頭頸部癌[12]に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法の場合
他の抗悪性腫瘍剤との併用療法において、通常、成人にはフルオロウラシルとして1日1000mg/m2(体表面積)までを、4~5日間連日で持続点滴する。投与を繰り返す場合には少なくとも3週間以上の間隔をあけて投与する。本剤単独投与の場合には併用投与時に準じる。
なお、年齢、患者の状態などにより適宜減量する。
- 結腸・直腸癌に対するレボホリナート・フルオロウラシル持続静注併用療法
- 通常、成人にはレボホリナートとして1回100mg/m2(体表面積)を2時間かけて点滴静脈内注射する。レボホリナートの点滴静脈内注射終了直後にフルオロウラシルとして400mg/m2(体表面積)を静脈内注射、さらにフルオロウラシルとして600mg/m2(体表面積)を22時間かけて持続静注する。これを2日間連続して行い、2週間ごとに繰り返す。
- 通常、成人にはレボホリナートとして1回250mg/m2(体表面積)を2時間かけて点滴静脈内注射する。レボホリナートの点滴静脈内注射終了直後にフルオロウラシルとして2600mg/m2(体表面積)を24時間持続静注する。1週間ごとに6回繰り返した後、2週間休薬する。これを1クールとする。
- 通常、成人にはレボホリナートとして1回200mg/m2(体表面積)を2時間かけて点滴静脈内注射する。レボホリナートの点滴静脈内注射終了直後にフルオロウラシルとして400mg/m2(体表面積)を静脈内注射、さらにフルオロウラシルとして2400~3000mg/m2(体表面積)を46時間持続静注する。これを2週間ごとに繰り返す。
なお、年齢、患者の状態などにより適宜減量する。
- 小腸癌及び治癒切除不能な膵癌[6]に対するレボホリナート・フルオロウラシル持続静注併用療法
通常、成人にはレボホリナートとして1回200mg/m2(体表面積)を2時間かけて点滴静脈内注射する。レボホリナートの点滴静脈内注射終了直後にフルオロウラシルとして400mg/m2(体表面積)を静脈内注射、さらにフルオロウラシルとして2400mg/m2(体表面積)を46時間持続静注する。これを2週間ごとに繰り返す。
なお、年齢、患者の状態などにより適宜減量する。
主な副作用として、食欲不振、下痢・軟便、全身倦怠感、吐き気・嘔吐、口内炎、色素沈着、脱毛、発疹、カテーテル先端付近の動脈壁の変性、血栓形成などが報告されています。
主な副作用は食欲不振、下痢・軟便、全身けん怠感、悪心・嘔吐、白血球減少、口内炎、色素沈着、脱毛
- 脱水症状
ひどい下痢、意識がうすれる、深く大きい呼吸
- 重篤な腸炎
出血性腸炎、虚血性腸炎、壊死性腸炎等の重篤な腸炎があらわれることがある。
激しい腹痛、下痢、血便
- 骨髄機能抑制
汎血球減少、白血球減少、好中球減少、貧血[17]、血小板減少等の骨髄機能抑制
からだがだるい、あおあざができる、めまい
- ショック、アナフィラキシー
発疹、呼吸困難、血圧低下 等
- 白質脳症
白質脳症(初期症状:歩行時のふらつき、四肢末端のしびれ感、舌のもつれ等)、また、錐体外路症状、言語障害、運動失調、眼振、意識障害、痙攣、顔面麻痺、見当識障害[18]、四肢末端のしびれ感、せん妄、記憶力低下、自発性低下、尿失禁等の精神神経症状があらわれることがある。
- うっ血性心不全、心筋梗塞[19]、安静狭心症[20]
胸の痛み、冷や汗、胸を強く押えつけた感じ
- 急性腎不全
急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがある。腎障害の知られている抗悪性腫瘍剤(シスプラチン、メトトレキサート等)との併用時には特に注意が必要。
からだがむくむ、疲れやすい、尿が出にくい
- 間質性肺炎[21]
発熱、から咳、息苦しい
- 肝機能障害、黄疸、肝不全、肝・胆道障害(胆嚢炎、胆管壊死、肝実質障害など)
AST(GOT)、ALT(GPT)、Al-P、γ-GTP[22]の上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれ、肝不全まで至ることがある。
からだがだるい、食欲不振、白目や皮膚が黄色くなる、羽ばたくような手のふるえ
- 消化管潰瘍、重症な口内炎
吐き気や嘔吐、胃の痛み、口の中が荒れて痛い
- 急性膵炎
腹痛、血清アミラーゼ[23]上昇等
急に激しく腰や背中が痛む、発熱、吐き気や嘔吐
- 意識障害を伴う高アンモニア血症
意識の低下、羽ばたくような手のふるえ、手足のふるえ
- 肝・胆道障害
肝動脈内投与において、肝・胆道障害(胆嚢炎、胆管壊死、肝実質障害等)があらわれることがある。
臭いがわからなくなる、臭いを感じなくなる
- 手足症候群
手掌・足蹠の紅斑、疼痛性発赤腫脹、知覚過敏 等があらわれることがある。
手のひらや足の裏の感覚が鈍くなったり過敏になる、痛み、皮がむける
- 嗅覚障害、嗅覚脱失
- 類薬(テガフール製剤)で劇症肝炎等の重篤な肝障害、肝硬変、心室性頻拍、ネフローゼ症候群[24]、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、溶血性貧血[17]があらわれることがある。
副作用 | 5%以上 | 0.1~5%未満 | 0.1%未満 | 頻度不明 |
血液及びリンパ系障害 |
肝臓 | - | - | - | AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、ビリルビン上昇等の肝機能検査値異常 |
肝胆道系 |
腎臓 | - | 蛋白尿 | - | BUN上昇、クレアチニン[26]値上昇、クレアチニン・クリアランス[27]低下 |
泌尿器 |
生殖系及び乳房 |
精神神経系 | けん怠感 | - | - | めまい、末梢神経障害(しびれ、知覚異常等) |
神経系 |
感覚器 |
眼 | - | - | - | 流涙、結膜炎 |
耳 |
錐体外路症状 |
循環器 心臓 | - | - | - | 心電図異常(ST上昇、T逆転、不整脈[28]等)、胸痛、胸内苦悶 |
血管 |
呼吸器 |
消化器 | 食欲不振、下痢、悪心・嘔吐 | 味覚異常、口渇、腹部膨満感、腹痛、下血 | 便秘 | 口角炎、舌炎、胸やけ |
皮膚・皮下組織系 | - | 色素沈着、脱毛、浮腫、びらん、水疱、そう痒感、紅潮 | - | 爪の異常、光線過敏症 |
過敏症 | - | 発疹 | - | - |
下垂体[29]・副腎皮質系 |
免疫系 |
代謝及び栄養 |
内分泌 |
筋骨格系及び結合組織障害 |
全身 |
投与部位 |
感染症 |
抵抗機構 |
動脈内投与時 | - | - | - | カテーテル先端付近の動脈壁の変性、血栓形成 |
その他 | - | 発熱、頭痛 | - | 糖尿、低カルシウム血症、耐糖能異常 |
臨床検査 |