脊髄が傷つくと、そこから下にある神経がマヒするため、体が動かなくなり皮膚の感覚もなくなる。
傷つく部分が脳から近ければ近いほどマヒする神経が多くなり、それだけ障害も重くなる。頸髄の場合、ほんの少し傷つくところが違うだけで、動くところや感じるところが大きく変わる。
脊髄からはたくさんの神経がのび、頸髄からも頸神経とよばれる神経が7対のびている。この神経を通常は上からC1〜C7とよび、それぞれが身体の運動や知覚を少しずつ分担している。
傷の程度によって、完全に神経が途切れて、まったく動かない場合を完全マヒ、部分的に途切れて、所々動かない場合を不全マヒと呼ぶ。ただし厳密には完全マヒと不全マヒに分かれるのではなく、症状は一人ひとりで大きく異なる。
頚髄損傷は、交通事故やスポーツ、高所からの落下などで首の骨を骨折もしくは脱臼する事で多くは発症します。
また、後縦靱帯骨化症、黄色靱帯骨化症、頚椎症性神経根症など神経の通り道が狭くなる疾患を罹患している人が転倒し、首への強い衝撃を受けることによっても発症する事があります。
通常、長時間同じ姿勢で座っていたり横になっていると、接地面の血流が不足し、しびれるので無意識的に座位を変えたり寝返りを打ったりしているものである。ところが脊髄損傷によって感覚を失っているとそれが知覚できず、圧迫された部位が血行不良となって組織を冒してしまう。
筋肉を動かさないことによって肉が落ち(廃用性萎縮)、出っ張った骨が薄い皮膚を圧迫することもこれを助長する。
最初は皮膚が赤らむ程度から、最も重篤な場合には真皮を突き抜けて脂肪層までえぐられるように壊死を起こすこともある。
最も多い発症部位は仙骨部の突出部で、その次にくるぶし、背中などである。
尿路感染症とは、尿道から有害細菌が侵入することによって引き起こされる様々な障害のことである。
多くの脊髄損傷患者は自力で排尿できない為、カテーテル等を使って導尿を行う。このとき、カテーテルを介して雑菌が尿道、膀胱に入り、炎症や敗血症の原因となる。