通常、体内の血液は循環しているため血管内部では血液は凝固しません。
しかし、手足の静脈のなかで血液が凝固することがあり、これが深部静脈血栓症で、できた血液のかたまり(血栓)が血管のなかを流れて肺の動脈に詰まる病気[2]が肺血栓塞栓症です。深部静脈血栓症と肺血栓塞栓症は連続した病気[2]ですので、合わせて静脈血栓塞栓症と呼ばれます。
下肢の静脈に血栓ができて血管が完全に詰まってしまうと、血液が流れなくなり、血液がたまって下肢がはれます。このような状態が長期間続くと、皮膚に潰瘍ができることもあります。
一部の血管の壁に血栓ができても、血管が完全に詰まらなければ、下肢のはれなどの症状は起こりません。このタイプの深部静脈血栓症は、血栓が何らかの原因で血管の壁からはがれて血流にのり、肺動脈に詰まって肺血栓塞栓症を起こすまで症状がないので、非常に危険です。
肺血栓塞栓症は、肺動脈の狭い範囲に起これば症状はありません。少し範囲が広がると、胸の痛みや苦しさが出たり、咳や血痰が出たりします。
大きな血栓が肺動脈の本管に詰まると心臓停止と同じような症状が起こり、詰まった範囲が広い場合には死に至る可能性があります。
静脈の流れは、歩行や足の運動で起こる筋肉の収縮によって助けられています。そのため、長時間同じ姿勢のまま下肢を動かさないでいると、静脈の血液の流れが遅くなり、血栓ができることがあります。
静脈内の血栓が血管を流れていき、肺の動脈に詰まると肺血栓塞栓症となります。日常生活でも、小さな血栓ができて肺の動脈に詰まることがありますが、ほとんどの場合は、自然に溶けるので心配はいりません。
しかし、血栓が大きくなってから肺の動脈に詰まると、命に係わる可能性があります。
肺血栓塞栓症は、飛行機やバスなどで体を動かすことができず長時間座っている時に起こることが知られています。また災害時に狭い空間での避難生活を強いられることによって起こる場合があります。
血栓は、動かないことで血液の流れが遅くなるだけではなく、血液が凝固しやすい性質の人に起こりやすいことがわかっています。また、外傷や出産・手術など出血を伴う状況にあると、体の仕組みによって血液は凝固しやすくなります。
循環器科
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