ページへ戻る

− Links

 印刷 

遺伝子検査 :: 医療 Wiki

illness:遺伝子検査

ページ内コンテンツ
  • 遺伝子検査
    • 遺伝子(DNA)
    • 何がわかるのか
    • どのような検査か

遺伝子検査 anchor.png[1]

人間のDNAの塩基配列を解明する作業(ヒトゲノム計画)は、1991年より始められ、1999年には日本とイギリスの研究者によって、ヒト22番染色体の解読が終わり、3346万塩基で545個の遺伝子のあることがわかりました。その後も解読が進み2003年にはすべての染色体のDNAの塩基配列が明らかにされました。
こうして、DNAの塩基配列が明らかになると、個人から採取した細胞のDNAを調べて比較すれば、どこに異常があるかがわかります。これらを調べるのが遺伝子検査です。遺伝子検査が行われることで、いろいろな遺伝子異常が明らかになり、遺伝子治療[2]も行われるようになっています。

  • 1995年には北海道大学で先天性ADA欠損症(ADAという酵素がないために免疫が働かない病気[3])に対して、ADAをつくる遺伝子を組み込んだウイルスを体内に送り込んで治療する遺伝子治療[2]が行われています。
Page Top

遺伝子(DNA) anchor.png[4]

人間の体は約60兆個の細胞から出来ていますが、その細胞の中心にある核の中には23対46本の染色体が含まれています。
染色体は半分づつ両親から受け継いだもので、この中には遺伝情報がびっしりと詰め込まれています。遺伝情報は二重のらせん構造をしたDNAと呼ばれる遺伝子に記録されていて、その数は3万~4万個とされ、内容は4種類の塩基配列によって決まっています。
この遺伝情報によって、顔立ち、体つき、皮膚や髪の色、声質、背丈などが決まってきます。また、病気[3]に関しても糖尿病[5]になりやすい体質、がんになりやすい体質、高血圧[6]、高脂血症、心臓病、脳卒中などのさまざまな病気[3]になりやすい体質も同様にDNAによって決まり、親から子へ引き継がれていきます。
また、DNAの塩基配列の異常が遺伝するために起こる病気[3]もあります。鎌状赤血球症、アルツハイマー症候群、ハッチントン舞踏病、脊髄小脳変性症[7]などがあり遺伝子異常症と呼ばれています。

Page Top

何がわかるのか anchor.png[8]

Page Top

どのような検査か anchor.png[9]

遺伝子検査には、人間の細胞のDNAの異常を調べる検査と病原微生物のDNAを調べる検査があります。人間のDNA検査では遺伝子異常を見つけるだけでなく、遺伝子に原因があって起こっている病気[3]の発見や糖尿病[5]高血圧[6]、がんなどになりやすい体質の発見などに利用されています。

がんを例にとっていえば、正常細胞のDNAの中には、もともと細胞をがん化させるがん遺伝子が存在するのですが、同時にその働きを抑えているがん抑制遺伝子もあるために、がんが発生しないでいられます。ところが、発がん物質の作用などにより、がん抑制遺伝子に異常が起こって働かなくなると、がん遺伝子が活動を始めるためにがんが発生することが明らかになっています。

大腸がん[10]であれば、K-rasと呼ばれるがん遺伝子があり、FAP、P53、DCCなどのがん抑制遺伝子がその活動を抑えていますが、腸内の発がん物質などの作用で抑制遺伝子が働かなくなると大腸がん[10]が発生します。ですから、健康診断でこれらの遺伝子異常を検出できれば、大腸がん[10]の早期発見が可能になるとともに、予防や治療にも役立てることができます。

糖尿病[5]でも発病に関係するいくつかの遺伝子が明らかにされており、それらの異常に加えて、栄養のとりすぎや肥満、ストレスなどの生活環境の因子が加わって発病するものと考えられています。そのため、遺伝子の異常を見つけることができれば、糖尿病[5]の予防や早期発見、治療に役立てることができます。

病原微生物の遺伝子検査は、B型肝炎[11]C型肝炎[12]などのウイルス肝炎、エイズ[13]ウイルス、淋菌、クラミジア、ブドウ球菌メチシリン耐性菌、結核菌などに対して行われていて健康保険も適用されます。ウイルス、病原菌などを発見したり、それを確認するだけでなく、ウイルスや菌の型によって治療法を選択したり、治療効果の判定などにも利用されています。特にC型肝炎[12]では、ウイルス量を測定したり、ウイルスの型を明らかにすることによって、インターフェロン治療の適応を判定したり、治療効果をみるのに役立っています。


Last-modified: 2011-06-28 (火) 19:55:20 (JST) (4676d) by seriza