複合性局所疼痛症候群は、Complex Regional Pain Syndrome(CRPS)の日本語の病名です。
骨折、捻挫、打撲等の外傷等をきっかけにして、慢性的に痛みや腫れ、自律神経症状が持続し、筋肉の持続的収縮、関節運動の制限を起こします。
発症の男女比率は女性の方が高く、特に小児では女子が多い。
通常、交感神経系は、外傷後、数分から数時間で定常状態に戻ります。しかし、RSD/CRPSを発症する人は、交感神経系に異常機能を呈します。
理論的には、外傷部位におけるこの交感神経活動が炎症反応を引き起こし、それが血管を攣縮させ、さらなる腫脹と疼痛に導きます。この現象はさらに疼痛を増幅し、他の反応の引き金となり、痛みの悪循環が出来上がります。
RSD/CRPSの顕著な特徴は疼痛と運動障害です。複数の手足に、激しく深く疼く痛みが持続します。皮膚を軽く叩くと、一回ごとに痛みが増加し、叩くことを止めても持続する痛みの感覚が残ることがあります。 小さな筋肉の痙攣により、広い範囲に圧痛部位あらわれる場合があります。また、突然生じる鋭く突く痛みがあらわれる場合もあります。
皮膚は光沢、乾燥または鱗状態になります。体毛は初期には固く、やがて細くなります。爪は、初期には割れやすく速く伸び、やがて伸びにくくなります。RSD/CRPSは、発疹、潰瘍、膿疱といった多様な皮膚疾患を併発します。極めて希に、生命の危機に及ぶような再発性の皮膚感染により手足の切断が必要となる場合があります。
異常な交感神経(血管運動の変化)の活動によって、触れると暖かいまたは冷たい皮膚になる場合があります。
患者は手足に触れることなく温感や冷感を知覚することがあります。皮膚に発汗の増加や鳥肌を伴う冷感の増加が現れる場合もあります。
皮膚の色の変化には白い斑点から赤または青の状態まで幅がある。
圧痕が残るような固い(盛り上がった状態の)腫脹は、通常、広範囲に至り、
痛みがあり過敏となった部分に限局する。腫脹が皮膚の表面に線で明確に区分けされるような状態ならば、患者がRSD/CRPSであるという確かな証拠となる。
しかしながら、ある患者では、心地良さのために患肢に巻いたバンドのせいで、はっきりと境界線のある腫脹を生ずることがある。
従って、明確に区画された腫脹が患肢の周りに巻かれていた包帯によるものでないことを確認しなければならない。
RSD/CRPSの患者は動作時に疼痛があるため、運動障害が出ます。手足の運動の低下は筋肉の衰弱につながります。筋肉に起こる急激な痙攣は重篤で、完全に活動のできなくなる場合もある。
RSD/CRPSの患者は、力が手足に加えられたときに、疼痛のためにギブ・ウェイ・ウィークネス(筋力はあるのに急に力が入らなくなる現象)が起こります。また、筋収縮を持続させることが難しいので、ギブ・ウェイ・ウィークネスを起こしやすい。
初期には、RSD/CRPSの症状は一般的に外傷部位に限局して見られる。
時間の経過により、疼痛と症状はより広範にみられる傾向がある。典型的には病気は四肢に始まるが、疼痛が体幹または顔面の横に発生する場合がある。逆に、病気が四肢の遠位から始まり、体幹や顔面へ広がって行くこともある。この段階では、全身の1/4が罹患する場合もある。
RSD/CRPSにおける症状の拡大には3種類のパターンのあります。
罹患部位に、誘因に対して不釣合いな痛みを伴う外傷の履歴に、以下に記された項目の一つ以上が加わります。
交感神経系の機能異常 腫脹 運動障害 組織成長の変化(異栄養症と萎縮) RSD/CRPSと診断されるために上記のすべてを満たす必要はありません。