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表皮水疱症 :: 医療 Wiki

illness:表皮水疱症

ページ内コンテンツ
  • 表皮水疱症 概要
    • 分類
    • 症状
    • 原因
    • 遺伝病
    • 診療科
    • 検査
    • 診断
    • 病期 ステージ
    • 合併症
    • 治療法
      • 日常生活での注意

表皮水疱症 概要 anchor.png[1]

表皮水疱症は、表皮~基底膜~真皮の接着を担っている接着構造分子が生まれつき少ないか消失しているため、日常生活で皮膚に加わる力に耐えることができずに表皮が真皮から剥がれて水疱や皮膚潰瘍を生じてしまう病気[2]です。

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分類 anchor.png[3]

  • 単純型表皮水疱症
    表皮が千切れて水疱ができる病型
  • 接合部型表皮水疱症
    表皮と基底膜の間で剥がれて水疱ができる病型
  • 栄養障害型表皮水疱症
    基底膜と真皮の間で剥がれる病型
  • キンドラー症候群
    いずれの部位でも水疱を形成することがある。
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症状 anchor.png[4]

表皮水疱症は単純型、接合部型、栄養障害型のどの病型でも、生まれた直後、あるいは生まれて間もなく、皮膚に水疱や潰瘍が生じます。
症状の程度は遺伝子塩基配列異常の種類よってある程度決定されますが、生活環境、生活習慣、栄養状態、治療状況によっても左右されます。大きな潰瘍が多発すると、皮膚の感染や炎症反応を繰り返し、皮膚から浸出液と共にタンパク質が喪失し、低栄養、鉄欠乏性貧血[5]を合併します。

  • 単純型表皮水疱症表皮水疱症全体の約4割を占めます
    ケラチン5あるいはケラチン14の遺伝子異常による優性単純型は、軽症の場合は経過と共に症状が軽快することが多いのですが、重症の場合は掌や足の裏の皮膚の角質が厚く固くなり、場合によっては歩行困難となることもあります。
  • 接合部型表皮水疱症表皮水疱症全体の約1割です。
    ラミニンα3鎖、β3鎖、γ2鎖の遺伝子異常は極めて重症となり、全身の感染症で1歳を待たずに死亡することが殆どです。
    α6インテグリンまたはβ4インテグリンの遺伝子異常では胃と小腸の結合部位(幽門)の閉鎖を合併し、手術を受けなければ食事摂取が出来ません。
    17型コラーゲン遺伝子異常では、経過と共に歯のエナメル質形成異常、頭頂部の脱毛、皮膚の色素脱失が生じます。
  • 栄養障害型表皮水疱症表皮水疱症全体の約5割と最も多い病型です。
    殆どの場合、生まれた直後から爪の変形や脱落を認めます。また、潰瘍部の真皮で線維化[6]が亢進して固くなる、いわゆる瘢痕形成と、その表面に脂肪の粒である稗粒腫が生じることが特徴です。
    優性遺伝型に比べて劣性遺伝型の症状が強く、優性遺伝型は経過と共に症状が軽くなることが多い一方、劣性遺伝型では手指の癒着、開口障害、眼瞼癒着など、瘢痕に伴う皮膚・粘膜症状が進行する場合があります。
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原因 anchor.png[7]

ヒトのDNA上の遺伝子の中に、ケラチン遺伝子、プレクチン遺伝子、BP230遺伝子、α6インテグリン遺伝子、β4インテグリン遺伝子、17型コラーゲン遺伝子、ラミニンα3遺伝子、ラミニンβ3遺伝子、ラミニンγ2遺伝子、7型コラーゲン遺伝子があります。
そのどれか一つの遺伝子で塩基配列に異常が生じることで、表皮の細胞骨格機能、表皮と基底膜の接着機能、基底膜と真皮の接着機能が破綻することが、表皮水疱症の原因です。

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遺伝病 anchor.png[8]

優性遺伝病と劣性遺伝病のどちらになるかは遺伝子の種類によって決まります。
表皮水疱症の場合、ケラチン5遺伝子、ケラチン14遺伝子の異常による単純型表皮水疱症は優性遺伝病、プレクチン遺伝子異常による単純型表皮水疱症は劣性遺伝病、接合部型表皮水疱症は全て劣性遺伝病となります。
7型コラーゲンの遺伝子異常による栄養障害型表皮水疱症は、その塩基配列異常の種類によって劣性遺伝病になる場合と優性遺伝病になる場合があります。

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診療科 anchor.png[9]

皮膚科

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検査 anchor.png[10]

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診断 anchor.png[11]

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病期 ステージ anchor.png[12]

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合併症 anchor.png[13]

  • 単純型表皮水疱症の場合
    プレクチン遺伝子異常による劣性単純型では、経過と共に筋力が低下して筋ジストロフィー症状を合併します。
  • 接合部型表皮水疱症の場合
    ラミニンα3鎖、β3鎖、γ2鎖の遺伝子異常は極めて重症となり、全身の感染症で1歳を待たずに死亡することが殆どです。
    α6インテグリンまたはβ4インテグリンの遺伝子異常では胃と小腸の結合部位(幽門)の閉鎖を合併し、手術を受けなければ食事摂取が出来ません。
    17型コラーゲン遺伝子異常では、経過と共に歯のエナメル質形成異常、頭頂部の脱毛、皮膚の色素脱失が生じますが、命に係わる重症な合併症は生じません。
  • 栄養障害型表皮水疱症の場合
    重症な場合は成人以降に瘢痕がんを合併する場合があり、また食道粘膜剥離による食道瘢痕狭窄、慢性炎症に伴う糸球体腎炎、心筋症など内臓の合併症を起こします。
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anchor.png[14]

  • (一般名:)
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治療法 anchor.png[15]

表皮水疱症に有効な治療はありません。
水疱は注射針や清潔なハサミを用いて水疱の一部に穴をあけて水疱内容液を排出した、ガーゼ保護します。
潰瘍面は、軟膏外用と創傷被覆材で保湿を維持し、感染が生じた場合は抗菌作用のある外用剤外用と抗生剤内服で治療します。

  • Muse細胞
    2018年12月、様々な器官や組織に変わる力を持つ多能性幹細胞[16]の一つ『Muse細胞』による治療試験が始まる。
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日常生活での注意 anchor.png[17]

皮膚や粘膜が擦れることにより水疱や潰瘍が生じますので、皮膚や粘膜の保護が重要です。肘、膝、手、足、肩、臀部など、擦れて摩擦が生じやすい部位は、可能な限りガーゼや包帯で保護することで、水疱形成を予防します。水疱ができた場合は水疱内容液の除去が潰瘍形成や潰瘍拡大を予防します。


Last-modified: 2018-12-21 (金) 01:03:44 (JST) (1955d) by kondo