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肝臓がん :: 医療 Wiki

illness:肝臓がん

ページ内コンテンツ
  • 肝がん 概要
    • 分類
    • 肝細胞がんを発症する危険因子
    • 定期的な検査
    • 腫瘍生検の危険性
    • 症状
    • 治療法
      • 外科手術
      • その他の治療法
      • 化学療法
    • 罹患した著名人

肝がん 概要 anchor.png[1]

肝臓がんには、肝臓そのものから発症した原発性肝がんと、他の臓器の癌が肝臓に転移した続発性肝がん(転移性肝がん)があります。
原発性肝がんの大部分は肝細胞がんであることから「肝がん」という言葉は狭義に「肝細胞がん」を指す場合があります。

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分類 anchor.png[2]

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肝細胞がんを発症する危険因子 anchor.png[4]

肝臓がんの90%はB型・C型のウイルス性肝炎が原因といわれています。

  • 肝硬変
    肝炎ウイルスの長期的な感染や、アルコールの過剰摂取などが原因で肝臓に慢性的な炎症が持続すると、正常な細胞が破壊され、線維化[5]という変化が起こるために、肝臓が硬くなります。これを肝硬変といいます。
    肝機能が低下するため、体調不良や食欲不振、体重減少などの症状がみられる場合があり、進行すると皮膚が黄色く変色する黄疸やむくみ、意識障害などの症状が現れます。
    肝細胞癌になる危険性もあるので、定期的な検査が必要です。
  • C型慢性肝炎
    C型肝炎[6]ウイルスへの感染が原因で起こるC型肝炎[6]は自覚症状のないことが多く、約7割の人が持続的に感染している状態、つまりC型慢性肝炎となります。10年以上の長い時間をかけて一定の率で肝硬変、さらには肝細胞癌へと進行することが知られています。
  • B型慢性肝炎
    出生時の母子感染や性交渉などによってB型肝炎[7]ウイルス保有者となり、持続的にB型肝炎[7]ウイルスに感染している状態をいいます。B型慢性肝炎のうち1割程度の人では、肝硬変や肝癌へと進行することがあるので定期的な検査が必要です。
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定期的な検査 anchor.png[8]

  • 超音波検査
    高い周波数の超音波を人体に当て、反射して返ってきた音波を画像に映し出す検査です。「エコー検査」と呼ばれることもあります。
    臓器や組織などの内部構造がわかるため、病的な変化が起きている部分の有無や状態を調べることができます。
  • 腫瘍マーカー[9]測定
    癌が発生すると増加する、血液中のある特定の成分のことです。肝細胞がんの腫瘍マーカー[9]では、アルファフェトプロテイント、そこから分離したアルファフェトプロテインレクチン分画、PIVKA-II[10]という3種が広く使われており、癌の存在や進行の度合い、治療への反応の程度、再発の有無を知る手がかりとなります。
  • 肝細胞がんスクリーニング
    病気[11]の診断を目的とした検査とは異なり、病気[11]が疑われる人とそうでない人を初期段階の検査で選び分けることをスクリーニングといいます。
    肝細胞がんの場合は、主に慢性肝炎の患者さんを対象に検査を行い、肝細胞癌が発生していないかどうかを定期的に調べます。
  • dynamic CT(ダイナミックCT)
    組織の明暗をはっきりさせる造影剤という検査薬を静脈に注射し、連続的に撮影するCTのことです。
    病的な変化が起きている部分の発見や、血液の流れを把握するのに有効です。
  • dynamic MRI(ダイナミックMRI)
    組織の明暗をはっきりさせる造影剤という検査薬を静脈に注射し、連続的に撮影するMRIのことです。
    病的な変化が起きている部分の発見や、血液の流れを把握するのに有効です。
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腫瘍生検の危険性 anchor.png[12]

肝細胞がんは膨張性発育を示す充実性腫瘍であるため、生検のために腫瘍を穿刺*1すると、腹膜播種を起こす危険があります。

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症状 anchor.png[13]

症状は腹部超音波、X線CT、MRIなどの検査で発見される直径5cm以内の肝がんであれば、通常は無症状ですが、直径が5~10cmの肝癌になると、腹部が張った感じや下痢や食欲低下による体重減少や体力の低下、腹水、また黄疸、腹痛などの症状を起こすこともあります。原因はウイルス性慢性肝炎や肝硬変の人が多いです。

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治療法 anchor.png[14]

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外科手術 anchor.png[15]

  • 外科的肝切除
    肝臓の働きが良好で、直径2cm以下の肝細胞癌が1箇所だけに発生したときは、手術によって切除します。 再肝切除 再発した癌の治療のために、再度肝臓を部分的に切除します。
  • 肝移植
    病気[11]になった肝臓の一部、または全てを健康な肝臓に取り替えます。肝移植には、脳死した人の肝臓を移植する脳死肝移植と、生きている人の肝臓から一部を移植する生体肝移植があります。
  • TACE(肝動脈化学塞栓療法)
    腫瘍部を栄養する動脈のみならず併走する門脈枝をも化学塞栓します。
    TACEは進行した肝細胞癌で、手術や経皮的凝固療法(ラジオ波熱凝固療法、マイクロ波凝固療法)ができない患者に推奨されます。
    ただし、TACEを行なう範囲と肝臓の機能のバランスを考慮して行なうことが重要です。黄疸のない、肝細胞癌が破裂した患者には、緊急でTACEを行なうことが有効です。
    同種赤血球輸血は術後の肝機能に負担をかけるため、かわりに血漿で出血分を補うことがあります。
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その他の治療法 anchor.png[16]

  • 経皮的ラジオ波凝固療法(RFA)
    超音波で腫瘍の位置を確認しながら、皮膚をとおして腫瘍に針を刺し、そこからラジオ波という電磁波を照射して癌組織を熱で固める治療法です。
  • ラジオ波焼灼(しょうしゃく)療法
    肝動注注化学療法 肝臓へむかう肝動脈にカテーテルという細い管を通し、抗癌剤を肝臓内の腫瘍を標的にして投与する治療法です。
    肝臓は門脈と肝動脈の2種類の血流を受けていますが、肝細胞がんは肝動脈にのみ血流を依存しています。
    したがってこの方法は抗がん剤が腫瘍に直接届くため、全身化学療法にくらべ、少ない投与量で高い抗がん作用が期待でき、かつ全身に対する副作用が少ないという利点があります。
  • 経皮的エタノール[17]局注療法(PEIまたはPEITと略)
    腫瘍の位置を超音波で確認しながら、皮膚をとおして腫瘍に針を刺し、そこからエタノール[17]を直接注入して癌細胞の働きを止める治療法です。単独治療の適応は、2cm未満です。
    比較的安全で簡便な方法であるため広く行われていますが、エタノール[17]が腫瘍にきちんと拡がらないなどの短所もあります。
  • 経皮的マイクロ波凝固療法(PMCT)
    単独治療のよい適応は、2~3cm以下の肝細胞癌であり、15mm以下では治療効果が高い。
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化学療法 anchor.png[18]

肝細胞がんに対し、明らかに抗がん効果が認められた抗癌剤や投与方法はありません。効果が低いということです。
インターフェロンと抗がん剤(5-FU)を組み合わせて行なう治療法は、効果が低く十分な科学的根拠はありません。

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罹患した著名人 anchor.png[19]


*1 穿刺とは細い針で刺すこと

Last-modified: 2019-05-28 (火) 13:46:45 (JST) (1787d) by kondo