CTEPHは、chronic thromboembolic pulmonary hypertension 略称で、「シーテフ」と呼ばれています。
CTEPHでは、肺の血管の内側に血のかたまり(血栓)が詰まり、血液が流れにくくなって、肺動脈へかかる圧が上昇する肺高血圧症と呼ばれる状態が続きます。
肺と心臓の血液の流れが悪くなるので、息苦しさや身体のだるさ、胸の痛みなど様々な症状があらわれます。
何らかの異常によって、血管の内部に血のかたまりができることがあります。これが血栓です。 その血栓が、血管からはがれて血液の流れに乗り、その先の別の血管に詰まってしまうことを塞栓といいます。
通常、血栓は身体の自然の働きによって溶かされるのですが、血栓が何度も繰り返し、詰まったり溶け方が不十分であったりすると、こびりついた血栓が固くはがれにくくなり、器質化と呼ばれる溶けにくい状態になります。
CTEPHの多くは、腕や脚などの太い静脈にできた血栓が、血流に乗って心臓に達し、さらに心臓から肺へ運ばれると考えられています。
この血栓が溶けずに残り、肺の血管の内部を狭くしたり、ふさいだりして、血液を流れにくくします。
肺の血管の血液が流れにくくなると、肺動脈の血圧(肺動脈圧)の上昇、すなわち肺高血圧症につながります。
手術ができない場合は、バルーン肺動脈拡張術(BPA:balloon pulmonary angioplasty)、または経皮経管的肺動脈拡張術(PTPA:percutaneous transluminal pulmonary angioplasty)というカテーテル(中が空洞の細く柔らかい管)治療が行われます。
バルーン肺動脈拡張術の場合、先端に風船のように膨らむバルーンがついた特殊なカテーテルを、頸(くび)や腕、脚などの太い血管から挿入し、血栓のある場所でバルーンで広げて、血液の流れを確保します。
肺高血圧症が進行すると、血液の流れが悪くなり、血液中の酸素濃度が低下します。また、血液中の酸素濃度が低下した状態は、CTEPHをさらに悪化させ、息切れや呼吸困難の原因となります。
そのため、自宅で酸素吸入を継続的に行う在宅酸素療法(HOT:home oxygen therapy)を行う場合があります。