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急性肝炎 :: 医療 Wiki

illness:急性肝炎

ページ内コンテンツ
  • 概要
    • 症状
    • 感染経路
    • 潜伏期
    • 診療科
    • 検査
    • 診断
      • 重症度の診断
    • 経過と予後
    • 合併症
    • 治療法

概要 anchor.png[1]

急性肝炎とは、主に肝炎ウイルスの感染が原因でおきる急性の肝機能障害を呈する病気[2]です。
肝炎ウイルスは、A型、B型、C型、D型、E型の5種類が確認されています。
急性肝炎は一般的には経過が良好な疾患ですが、ごく一部の患者は劇症化し、一度劇症化すると高率に死に至る可能性が高くなり、肝臓移植治療が必要となることがあります。

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症状 anchor.png[3]

黄疸、、褐色尿、食欲不振、嘔気嘔吐、腹痛、全身倦怠感、 発熱、咽頭、頭痛 などがあります。
関節痛、発疹

急性肝炎の初期症状は、いわゆる感冒様症状(発熱、咽頭痛、頭痛)です。

肝障害が生じていることを示す特異的症状は黄疸であり、通常は、眼球の結膜の色の黄染、皮膚の黄染が出現する数日前から褐色尿が観察されます。
褐色尿とは、ウーロン茶のような色をした尿であり、黄疸の進行とともにコカコーラのような色へと色が黒く変化します。黄疸の出現とほぼ同じ時期に食欲不振、全身倦怠感、嘔気、嘔吐などの症状が出現します。

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感染経路 anchor.png[4]

A型やE型は経口感染であり、ウイルスに汚染された水、食物を介して感染します。
B型、C型、D型、型は血液、体液を介してウイルスが体内に入り込むことで感染が成立します。

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潜伏期 anchor.png[5]

肝炎ウイルスが体内に侵入してから症状が出現するまでの期間を潜伏期と呼びます。
ウイルス性急性肝炎の潜伏期は通常は、3週間から8週間の範囲ですが、B型、C型では6ヶ月間の潜伏期である場合があります。

  • 不顕性感染
    肝炎ウイルスに感染しても自覚症状を示さず、臨床的に明らかな症状を示さないで経過する例もあります。
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診療科 anchor.png[6]

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検査 anchor.png[7]

  • 血液検査
    肝細胞内の酵素であるALT(GPT)やAST(GOT)の著明な上昇や、黄疸の指標となるビリルビン値が上昇します。
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診断 anchor.png[8]

各ウイルスに特異的な血液検査をおこなうことで、原因ウイルスの特定が可能となります。

A型IgM-HA抗体陽性
B型IgM-HBc抗体陽性、HBs抗原陽性
C型HCV-RNA陽性、HCV抗体陽性
E型IgA-HEV抗体陽性、HEV-RNA陰性
非A非B非C非E型IgM-HA抗体陰性、IgM-HBc抗体陰性、HCV-RNA陰性、IgA-HEV抗体陰性、抗核抗体[9]陰性(自己免疫性肝炎[10]の否定)、既知のウイルス感染症の否定
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重症度の診断 anchor.png[11]

血液検査では、肝予備能を鋭敏に反映するプロトロンビン時間[12]、へパプラスチン時間という血液凝固機能検査が肝障害の重症度を示します。

また、通常の急性肝炎では意識障害を示すことはありませんが、急性肝炎が劇症化し広範な肝細胞障害が起きると、著しく肝予備能が低下するために肝臓の解毒機能が低下します。

そのため、各種の中毒物質が肝臓で代謝・排泄されず、体内に貯留するために脳機能障害を起こし、昼夜逆転、せん妄、傾眠傾向、昏睡などの症状を呈します。肝予備能の低下が原因で起きる意識障害を肝性昏睡といいます。

プロトロンビン時間[12]と意識障害の程度で、急性肝炎は通常型、重症肝炎、劇症肝炎の3つの重症度に分類します。

一度、劇症化すると高率に死に至る可能性が高くなり、肝臓移植治療が必要となります。

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経過と予後 anchor.png[13]

急性肝炎は、その原因ウイルスにより経過と重症度が異なります。

  • A型肝炎、E型肝炎
    一過性に経過し慢性化することはありません。
    死亡率は低いですが、経口感染で、家族内で2次感染を起こしやすい。
  • B型肝炎[14]
    出産時ないし乳幼児期に感染すると高率に慢性化しますが、成人例での感染のほとんどは一過性感染で経過し慢性化することは稀です。
  • C型肝炎[15]
    感染時年齢に関係無く高率に慢性化します。
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合併症 anchor.png[16]

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anchor.png[17]

B型肝炎[14]ウイルスの増殖を伴い肝機能の異常が確認されたB型慢性肝疾患におけるB型肝炎[14]ウイルスの増殖抑制
C型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善
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治療法 anchor.png[23]

  • 副腎皮質ステロイド[24]
    肝炎ウイルスの排除機構としての免疫応答を抑制し、肝炎の遷延化を来たす可能性があるため、通常の急性肝炎では投与しません。ただし、重症肝炎、劇症肝炎への移行の可能性がある場合は投与します。
    また、高度の黄疸が持続する場合には、副腎皮質ステロド薬が効果がある場合があります。
  • B型急性肝炎に対する抗ウイルス剤
    B型急性肝炎の重症化例、遷延化例では、場合によって抗ウイルス剤であるラミブジンやエンテカビルを投与することもあります。
  • C型急性肝炎に対するIFN治療
    C型急性肝炎の慢性化防止するためには、インターフェロン(IFN)を2 カ月~6カ月間投与することがあります。

Last-modified: 2017-03-04 (土) 11:54:14 (JST) (2609d) by kondo