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強直性脊椎炎 :: 医療 Wiki

illness:強直性脊椎炎

ページ内コンテンツ
  • AS 概要
    • 症状
      • 全身症状
      • 脊椎の症状
      • 関節症状
      • 目の症状
      • 骨の症状
    • 原因
      • HLA遺伝子
    • 診療科
    • 検査
    • 診断
    • 病期 ステージ
    • 合併症
      • 非ステロイド性抗炎症薬
      • COX2阻害薬
      • サルファ剤・潰瘍性大腸炎治療剤・抗リウマチ薬
      • TNF阻害薬(注射製剤)
    • 治療法
      • 薬物療法
      • 運動・理学療法

AS 概要 anchor.png[1]

強直性脊椎炎(Ankylosing Spondylitis:AS)は、脊椎が強直する(固まってつながる)のがみられるのが特徴です。広義にはリウマチ反応陰性脊椎関節炎のグループに属し、脊椎、仙腸関節、股関節など靱帯付着部に炎症を生じ、その結果、脊椎、関節の強直を起こす病気[2]です。

この病気[2]は、HLA-B27をもつ人に発症することが多いといわれ、海外では90%以上の患者さんがHLA-B27陽性とされています。

男女比は12:1と男性に多く、発症年齢は10歳~35歳の思春期、青年期に多くみられます。45歳以上で発病することは希です。

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症状 anchor.png[3]

強直性脊椎炎は、脊椎や四肢の関節、その中でも特に基となる部分である腰椎や仙腸関節に炎症が起こり侵されます。したがって腰痛や殿部の痛みで発病することが多いのですが、単なる腰痛症や坐骨神経痛と間違われることがあります。

痛みは、急でなく徐々に強くなります。適度な運動をすると痛みが楽になり、動かさないでいると悪化するのが特徴で、夜間や朝方に強い痛みが起こります。また、症状に大きな波があり、激痛が数日続きその後は痛みがほとんどなくなることもあります。

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全身症状 anchor.png[4]

初期に体重減少、疲労感、発熱、貧血[5]などが起こります。活動期では、血液検査で炎症反応がみられ、CRP値の上昇、赤沈の亢進などがみられます。

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脊椎の症状 anchor.png[6]

腰部、仙腸骨、臀部が痛み座骨神経痛に似た症状が起こります。強直が進行すると、脊柱全体の運動制限が現れ前屈などの動作が困難になります。

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関節症状 anchor.png[7]

股関節、膝関節、肩関節などの関節が侵され、疼痛・運動制限が起こります。侵された関節は、最終的には強直状態となります。

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目の症状 anchor.png[8]

3分の1程度の人に眼の急性の炎症(虹彩炎)が起こります。

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骨の症状 anchor.png[9]

脊椎が硬く動かなくなりますが、骨自体はむしろ炎症により弱くなり、骨粗鬆症が起こってきます。
進行すると骨の破壊が起こります。またアキレス腱が踵骨につくところなどに炎症(付着部炎)が起こります。

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原因 anchor.png[10]

遺伝子が原因ではないので、遺伝する病気[2]ではありません。
原因不明ですが、特定の遺伝子HLA-B27をもつ人に発症するといわれています。
また、腸管などの細菌の感染が発病の要因になっている可能性などが考えられていますが明らかになっていません。

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HLA遺伝子 anchor.png[11]

HLA遺伝子は、ある型が両親とも陽性の場合は100%、片親が陽性の場合は50%の確率で子に引き継がれます。HLA-B27が陽性の家系の場合、少ない割合で家族内で発病が見られます。しかし、HLA-B27陽性でも多くの場合は、この病気[2]を発病することはありません。

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診療科 anchor.png[12]

  • 整形外科
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検査 anchor.png[13]

若年者で、徐々に進む腰痛があり、運動をするとよくなるような場合には、強直性脊椎炎などの脊椎関節炎を疑います。
血液検査では、炎症を反映するCRPの上昇がみられることが多いですが、関節リウマチ[14]でみられるリウマトイド因子(RF)は陰性です。HLA-B27の有無をみるためHLA遺伝子型の検査がしばしば行われますが、健康保険の適用を受けられません。
画像検査として、仙腸関節や脊椎のX線や、必要に応じてCT、MRIなどの検査を行います。

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診断 anchor.png[15]

ある程度進行すると、仙腸関節や脊椎のレントゲン検査などから診断が可能です。
また、早期にこの病気[2]を診断するため、海外でいくつかの診断基準が提唱されており、それらも参考にして診断を行います。

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病期 ステージ anchor.png[16]

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合併症 anchor.png[17]

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anchor.png[18]

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非ステロイド性抗炎症薬 anchor.png[19]

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COX2阻害薬 anchor.png[20]

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サルファ剤・潰瘍性大腸炎[25]治療剤・抗リウマチ薬 anchor.png[26]

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TNF阻害薬(注射製剤) anchor.png[28]

TNFα*1という物質が脊椎や関節で過剰につくられ、この病気[2]の痛みや炎症を引き起こしている大きな原因のひとつであることがわかっています。
生物学的製剤といわれる、抗体や受容体などヒトの成分を生物学的な手法で人工的につくった薬剤が様々な病気[2]で使われています。

  • レミケード点滴静注用[29](一般名:インフリキシマブ)
    インフリキシマブは点滴(1回2時間、主に6-8週間隔)で、皮下注射で投与します。
    • 副作用
      感染症、発熱、咳、痰
  • ヒュミラ皮下注[30](一般名:アダリムマブ)
    点滴(1回2時間、主に隔週)で、皮下注射で投与します。
    • 副作用
      感染症、発熱、咳、痰
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治療法 anchor.png[31]

治療は、消炎鎮痛剤の服用と運動療法が主体となります。
脊椎を動くようにする手術はありませんが、症状が進行した場合、脊椎を伸ばして固定する手術が行われることがあります。脊柱変形には骨切り術、股関節や膝関節の障害、その他の関節強直には人工関節置換術などが行われます。

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薬物療法 anchor.png[32]

薬物療法は、痛み、炎症に対して行われます。消炎鎮痛剤である非ステロイド性抗炎症薬がよい効果を示します。痛みをとり、運動や体操ができるようにするのは重要です。

最近は胃腸への影響が少ないCOX-2阻害薬と呼ばれる非ステロイド性抗炎症薬がよく使われるようになってきています。脊椎以外の関節炎に対しては、アザルフィジンEN錠[27]という関節リウマチ[14]の治療薬が用いられます。
ステロイド薬は、主に関節局所への注射薬として使用されます。副腎皮質ステロイド[33]剤の長期間の内服は、関節リウマチ[14]のような効果はみられません。

この病気[2]は骨が脆くなる骨粗鬆症を伴いやすく、骨粗鬆症に対してはビスフォスフォネート製剤がよく使用されます。

非ステロイド性抗炎症薬で効果が不十分な脊椎の症状に対しては、TNF阻害薬の適応があります。

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運動・理学療法 anchor.png[38]

定期的な運動、体操は姿勢や背骨の動きを保ち、痛みを和らげて運動機能を維持し促進します。入浴やシャワーで体を温めたり、その後にストレッチを行うことにより関節の動きがよくなります。特に水泳(温水プール)が理想的な運動といわれています。背骨を伸ばす運動や深呼吸運動も大切です。それぞれの病状に適した強さの体操や運動を、無理をせず継続して行うことが重要です。


*1 TNFα(tumor necrosis factor-α)とは、腫瘍壊死因子のことで、サイトカインと呼ばれる免疫や炎症に関与するたんぱく質のひとつです。

Last-modified: 2015-08-21 (金) 18:25:34 (JST) (3164d) by kondo