多発性骨髄腫は、血液のがんの一種で、骨髄の中の形質細胞(リンパ球の一種)が腫瘍化して異常に増殖する病気[2]です。
腫瘍細胞が骨髄を侵して増殖するため、正常な血液の細胞の生産ができなくなり、貧血[3]や易感染性、出血傾向などの症状が起こります。
また、骨髄腫細胞は骨を溶かす細胞を活性化させる分子を放出するため、骨折しやすくなったり、頭などの骨の密度が低下したりします。さらに、腫瘍化したリンパ球は、抗体という免疫グロブリン[4]をつくり出し、これが異常に増えることによって血液の粘性があがって腎機能障害をきたすようになります。
多発性骨髄腫は、血液の細胞を作り出す骨髄の中の形質細胞(リンパ球のひとつ)の遺伝子、または遺伝情報を納めている染色体の異常が原因で発症します。
初期症状として、腰痛や背中の痛み、そして病的骨折*2、腰椎の圧迫骨折が多いです。
骨髄腫細胞が増えると、骨芽細胞の機能が抑制され、破骨細胞の機能が活性化するため、全身の骨が脆くなって骨折しやすくなるのと同時に、骨に蓄えられているはずのカルシウムが血液中に増えます(高カルシウム血症)。高カルシウム血症は吐き気や意識障害、腎機能障害、多尿などをきたします。
さらに、正常な血液の細胞が減ってくるため、息切れや動悸などの貧血[3]の症状がみられたり、感染しやすくなったり、出血しやすいうえに止血しづらくなったりすることがあります。
また、骨髄腫細胞がつくり出す異常な免疫グロブリン[4]が大量に血液中に放出されると血液の粘性が高まり、頭痛やめまい、さらに腎臓が障害されて、むくみや吐き気などの症状が出てくることがあります。
病気[2]が進行すると腎機能が完全に破壊され、最終的には人工透析が必要になることもあります。
多発性骨髄腫では、血液検査で調べたアルブミン値とβ2ミクログロブリン値によって病期を判断します。
2つか3つの抗がん剤を組み合わせた導入 療法の後、患者さん自身の末梢血造血幹細胞[25]を採取し、大量薬物療法と自家末梢血造血幹細胞[25]移植を組み合わせた治療を行います。
標準治療として推奨される導入療法 には、(1)ボルテゾミブ+ デキサメタゾン (BD)、(2)BD+シクロホスファミド(BCD )、(3)BD+ドキソルビシン(PAD)などの併用療法があります。
移植を受ける人は、導入療法を3~4コース行った後、白血球を増やす薬のG-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)を注射して末梢血より造血幹細胞[25]を採取し凍結保存します。シクロホスファミドを併用する場合もあります。その後、点滴薬のメルファランを2日間大量投与し、投与2日目の翌々日に自家末梢血造血幹細胞[25]移植を行って造血機能を回復させます。
腎障害が高度な場合などには、メルファランを3割減らして投与します。
標準治療は、メルファラン+ブレドニゾロン+ボルテゾミブの3剤併用(MPB)療法や、メルファラン+ブレドニゾロン+サリドマイドの3剤併用(MPT)療法です。ボルテゾミブは皮下注射、あるいは静脈内投与します。
内服薬であるメルファラン、プレドニゾロン、サリドマイドは指示された日数服用します。MPB療法、MPT療法は、一般的に9コース行います。
(This host) = https://www.joy-mix.com