多発性硬化症は中枢神経系の脱髄疾患の一つです。
私達の神経活動は神経細胞から出る細い電線のような神経の線を伝わる電気活動によってすべて行われています。
家庭の電線がショートしないようにビニールのカバーからなる絶縁体によって被われているように、神経の線も
この髄鞘が壊れて中の電線がむき出しになる病気[2]が脱髄疾患です。この脱髄が斑状にあちこちにでき(脱髄斑)、病気[2]が再発を繰り返すのが多発性硬化症(MS)です。
MSというのは英語のmultiple sclerosisの頭文字をとったものです。
一方、主として視神経と脊髄に由来する症候を呈する患者の中には視神経脊髄炎(neuromyelitis optica:NMO)の病態を有する患者が含まれています。
NMO は、視神経と脊髄を比較的短期間に強い炎症を起こします。
原因は不明ですが、ウイルスや何らかの抗原が引き金になって、自分の組織を攻撃する自己免疫反応が起こるのではないかと考えられています。また、遺伝も何らかの役割を担っている可能性があります。
多発性硬化症を発症した人の多くは、体が自分の組織と異物を見分けるときの目印になるタンパク質の遺伝マーカー(ヒト白血球抗原)のある種のタイプHLA-DR2をもっています。
神経内科 眼科
中枢神経内に時間的空間的に病変が多発する炎症性脱髄疾患である。
下記の1)あるいは2)を満たすこととする。
1)中枢神経内の炎症性脱髄に起因すると考えられる臨床的発作が 2 回以上あり、かつ客観的臨床的証拠がある 2 個以上の病変を有する。ただし客観的臨床的証拠とは、医師の神経学的診察による確認、過去の視力障 害の訴えのある患者における視覚誘発電位(VEP)による確認、あるいは過去の神経症状を訴える患者における対応部位での MRI による脱髄所見の確認である。
2)中枢神経内の炎症性脱髄に起因すると考えられ、客観的臨床的証拠のある臨床的発作が少なくとも 1 回あり、さらに中枢神経病変の時間的空間的な多発が臨床症候、あるいは以下に定義される MRI 所見により証明さ れる。
発作(再発、増悪)とは、中枢神経の急性炎症性脱髄イベントに典型的な患者の症候(現在の症候あるいは 1 回は病歴上の症候でもよい)であり、24 時間以上持続し、発熱や感染症がない時期にもみられることが必要である。
突発性症候は、24 時間以上にわたって繰り返すものでなければならない。独立した再発と認定するには、1 ヵ月以上の間隔があることが必要である。 ただし診断には、他の疾患の除外が重要である。特に小児の急性散在性脳脊髄炎[10](ADEM)が疑われる場合 には上記 2)は適用しない。
1 年間の病状の進行(過去あるいは前向きの観察で判断する)及び以下の 3 つの基準のうち 2 つ以上を満たす。
1)と 2)の MRI 所見は造影病変である必要はない。脳幹あるいは脊 髄症候を呈する患者では、それらの症候の責任病巣は除外する。
1)脳に空間的多発の証拠がある(MS に特徴的な脳室周囲、皮質直下、あるいはテント下に 1 個以上の T2 病変 がある)
2)脊髄に空間的多発の証拠がある(脊髄に 2 個以上の T2 病変がある)
3)髄液の異常所見(等電点電気泳動法によるオリゴクローナルバンド及び/あるいは IgG インデックスの上昇) ただし、他の疾患の厳格な鑑別が必要である。
再発寛解型としてある期間経過した後に、明らかな再発がないにもかかわらず病状が徐々に進行する。
Devic 病とも呼ばれ、重症の視神経炎と横断性脊髄炎を特徴とする。視神経炎は失明することもまれではなく、 視交叉病変により両眼性視覚障害を起こすこともある。また脊髄炎は MRI 矢状断ではしばしば 3 椎体以上に及ぶ長い病変を呈し、軸位断では慢性期には脊髄の中央部に位置することが多い。アクアポリン 4 抗体(AQP4 抗 体)は NMO に特異的な自己抗体であり、半数以上の症例で陽性である。
NMO の診断基準として 2006 年の Wingerchuk らの基準が広く用いられている
Definite NMO の診断基準(Wingerchuk ら, 2006) 視神経炎
急性脊髄炎
3 つの支持基準のうち少なくとも 2 つ
1. 3 椎体以上に及ぶ連続的な脊髄 MRI 病変
2. MS のための脳 MRI の基準(*)を満たさない
3. NMO-IgG(AQP4 抗体)陽性
AQP4 抗体陽性で急性炎症性中枢性病変をともなう場合は、他の疾患が除外されれば、NMO の範疇(NMO Spectrum Disorders, NMOSD)に加える。NMO ではオリ ゴクローナル IgG バンドはしばしば陰性である。 NMO の再発の定義は MS に準ずる。
病理または MRI にて同心円状病巣が確認できるものをいう。
症状の改善が見られない場合は、数日後もう1~2クール追加したり、血液浄化療法を行うことがあります。
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