十二指腸乳頭部は、胆管が十二指腸につながる場所です。十二指腸乳頭部がんは、胆道がん[2]の一つに分類されます。治療の方法も胆道がん[2]に準じて選択されます。
十二指腸乳頭部にがんができると胆汁の流れが妨げられます。胆汁の流れが妨げられると黄疸などの症状が出ます。
また、胆汁の流れが滞ると胆管炎などが起きて腹痛や発熱の原因にもなります。
乳頭部がんができると膵液の流れも滞ります。膵液の流れが滞ると膵管内の圧力が上昇して膵臓に炎症が起きて発熱、腹痛、背部痛などの症状の原因になります。
- 黄疸、発熱、腹痛、全身倦怠感、体重減少、食欲不振、背部痛
胃カメラが最も基本となる検査です。その他、CT、MRI、超音波内視鏡などの精密検査などによって診断します。
術後の合併症 [8]
- 胆汁漏
胆管と小腸を吻合した部位や、肝臓の切離面から胆汁が漏れることがあります。漏れた胆汁は手術の時に入れた管(ドレーン[9])により体外に排出され、また胆汁が漏れていた穴は時間とともに自然と閉鎖するため致命的となることはありませんが、胆汁漏が止まるまでドレーン[9]を留置する必要があり入院期間が延長する原因となります。
- 膵液漏
膵臓と腸のつなぎ目から膵液が漏れることを膵液漏といいます。漏れた膵液は消化液や胆汁と混じることにより活性化され、周囲の組織を溶かしたり膿を作ったりして炎症を引き起こします。稀に近くの動脈を溶かして出血を引き起こし、生命にかかわる深刻な状況になることがあります。多くの場合、手術の時に入れた管(ドレーン[9])から漏れた膵液を回収することにより深刻な状況には至りませんが、膵液漏が収まるまで、ドレーン[9]腔を洗浄したりしながら慎重に経過を見る必要があります。
- 腹腔内膿瘍
おなかの中に膿がたまる状態です。敗血症[10]につながることもある深刻な合併症です。腹水に細菌が感染したり、膵液漏や縫合不全から感染が広がったりして起こります。38℃以上の発熱や痛みを伴うことがあります。抗生剤の投与や、手術の時に入れた管(ドレーン[9])から膿を排出して治療します。場合により膿を効率よく排出するために追加のドレーン[9]を入れる処置を行います。
- 胆管炎
胆管内に腸内の細菌が入り込むことにより、胆管で起きる炎症のことです。膵頭十二指腸切除では胆管と腸を直接つなぎ合わせるので、術後は腸液が胆管内に逆流しやすくなります。便秘やおなかの中の炎症で腸液の逆流がしやすい時は胆管炎にかかりやすくなります。38℃以上の発熱や右の脇腹の痛みを伴うことがあります。栄養状態が悪かったり、体調が悪い時は胆管炎から敗血症[10]になることもありますので注意が必要です。抗生剤で治療しますが、胆汁の流れを良くする薬や便秘薬を併用します。
- 吻合部狭窄
胆管と小腸の吻合部が狭窄し、胆汁の流れが悪くなることがあります。黄疸が生じるような場合には、内視鏡的治療が必要になる可能性があります。
がんの切除が根治の可能性のある唯一の治療法です。
がんになる手前のポリープの状態で発見された場合、内視鏡で切除することがあります。
初期の早期がんの場合や体の状態が十分でなく膵頭十二指腸切除術のような大きな手術が困難な場合には、小さな開腹創により十二指腸乳頭部のみを切除することがあります。
一方、ある程度進行した場合には、膵頭十二指腸切除術を行います。
がんの進行度や体の状態により手術が不可能と判断される場合は、抗がん剤による治療を行います。
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梅宮辰夫さんの退院後の姿を写真で見ました。
激やせはしたものの、まだまだ若々しくとても80歳にはみえません。元気になって、ますますのご活躍を祈っています。
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