下垂体腺腫(Pituitary adenoma)は、脳下垂体[2]にできる脳腫瘍[3]の一種。「下垂体[2]腫瘍」とも言われる。
下垂体腺腫は一般的に、腺腫・浸潤性腺腫・癌という3つのカテゴリに分類される。うち、ほとんどが良性腺腫であり、約35%が浸潤性腺腫、がんは0.2%~0.1%である。
脳下垂体[2]は、脳下垂体[2]中葉によって2つの部分に分けることができます。1つは腺の体積の3分の2を占める前葉、もうひとつは体積の3分の1を占める後葉である。
下垂体腺腫は、一般的には、下垂体[2]の前葉から発生します。ホルモンを過剰に分泌するもの(ホルモン産生腺腫)とホルモンを分泌しないもの(非機能性腺腫)に大きく分けられ、ホルモン分泌の種類により下記のように分類されます。
ホルモンの過剰分泌による各種の症状、視神経圧迫による視力視野障害、下垂体[2]機能低下症などが一般的です。
稀に下垂体[2]卒中と呼ばれ、腫瘍内に突然出血することがあります。そのような場合には、突然の頭痛および視力視野障害や眼球運動障害などが生じます。
男性に多く、青壮年期から老年期にかけて多く発生する。ホルモンの過剰分泌による症状がないため、症状発現時にはすでにかなり大きな腫瘍が多い。よって、症状としては、下垂体[2]のすぐ真上にある視神経が腫瘍により下側から直接圧迫され、両眼の耳側半分が見えなくなる両耳側半盲という症状が一般的です。しかし、視野の障害は自覚症状としては気づきにくく、診察して初めて本人が気づくことがよくあります。
頭痛を伴うこともよくあります。さらに正常下垂体[2]が圧迫され、下垂体[2]前葉機能不全症が生じます。具体的には、男性では、性欲低下や勃起不全などの性機能障害、女性では、月経不順、無月経や乳汁分泌などです。疲れやすくなり、抵抗力が低下します。さらに色白になり、腋毛や恥毛の脱落がみられる場合もあります。不妊症、特に男性不妊症の原因のひとつでもあります。
若い女性 (20~40歳代)に多い。プロラクチン[6]が過剰に分泌され、月経不順や無月経、さらに乳汁分泌などがみられます。つまり、妊娠していないのに体が妊娠しているような状態になります。これらの症状が出現すると女性は早くに病院に行きますので腫瘍は小さいことが多いです。
女性不妊症の原因として重要な疾患です。これらの症状から患者は、まず産婦人科を受診する事が多いですが、実は脳腫瘍[3]ですので脳神経外科を受診すべき病気[13]です。
稀ですが、この腫瘍は男性にも発生します。男性ですと性欲低下や勃起不全になりますが、なかなか気づかれない事が多く、通常、腫瘍が大きくなって視力や視野に異常がみられるようになり初めて病院を受診し発見されます。したがって、男性では、中高年に多くみられ、腫瘍が大きいことが特徴です。稀に男性でも乳汁分泌を認めます。
発生頻度は男女ほぼ同じくらいですが、40歳代の男性にやや多い傾向がみられます。成長ホルモン[5]が過剰に分泌されることにより、身体的に特徴的な症状を示します。骨端線の閉じる前 (思春期前)の小児期にこの病気[13]になると身長や手足が異常に伸び、いわゆる巨人症になります。また、成人になってからですと手足の先端や額、下顎、鼻、唇、舌などが肥大し先端巨大症と云われます。靴や指輪のサイズが合わなくなったとか、数年前に比べて顔つきがかなり変わったということからこの病気[13]が発見される事がよくあります。睡眠時無呼吸や咬合不全の原因の一つでもあります。
男性ですと性機能の低下、女性では無月経なども起こります。放っておくと糖尿病[15]、高血圧[16]、心不全などになり命に関わります。また、癌などにもなりやすくなると云われています。
副腎皮質刺激ホルモン産生腺腫は、クッシング病[9]と呼ばれ、下垂体[2]から副腎皮質刺激ホルモンが過剰に分泌されます。若年から中年の女性に多く、肥満が特徴です。諸外国では小児例も比較的多くみられます。顔が満月様に丸くなり、手足に比べて胸や腹部が太る、いわゆる中心性肥満という体型になります。にきびができやすく、体毛が濃くなります。多毛が初発症状のこともよくあります。前胸部や下腹部に赤紫色の引っ掻いたような線状の痕跡 (皮膚線条)がみられたり、上下肢に青あざができやすくなったりします。女性では無月経にもなります。小児では思春期になっても月経が発来しない、いわゆる原発性無月経の原因の一つでもあります。また、精神的にはうつ状態になることもよくあります。頑固な高血圧[16]や糖尿病[15]を伴うこともよくあります。
現在までに約350例の報告しかなく、最も稀なホルモン分泌性下垂体腺腫です。甲状腺ホルモン[19]の測定法の進歩により、この腫瘍の頻度は近年増加傾向にあります。全年齢層に生じ、性差はありません。主症状は、甲状腺の機能亢進に基づく頭痛、急激な痩せ、手の振戦、動悸、不整脈[20]、下痢、精神症状などである。甲状腺そのものの疾患と誤診され、間違った甲状腺の治療をされている例が多く見られます。また、大きな腺腫が多く、腫瘍が視神経を下方から圧迫して視力視野障害を伴います。時に成長ホルモン[5]やプロラクチン[6]を同時に産生し、先端巨大症や無月経、乳汁分泌などもみられます。
原因は不明です。
脳神経外科と耳鼻咽喉科共同で外科的治療
外科的治療後、内分泌科併診にて治療を進める。
ホルモン分泌性の下垂体腺腫の診断の原則は、血中でのホルモンの過剰分泌とそれに伴う臨床症状およびMRIなどの画像診断上での下垂体[2]部腫瘤の存在であります。非機能性下垂体腺腫の診断は、視神経や下垂体[2]の腫瘍による圧迫症状とMRIなどの画像診断上での下垂体[2]部腫瘤の存在であります。
放射線解剖学的知見に基づいた分類
ステージI
トルコ鞍拡張のない微小腺腫(<1センチメートル)。
ステージII
巨大腺腫(≧1センチメートル)と鞍の上に延びていてもよい。
ステージIII
床の拡大および浸潤を持つ巨大腺腫または鞍上の拡張。
ステージIV
トルコ鞍の破壊。
手術法は経蝶形骨洞的手術と開頭術の2つに分けられます。
経蝶形骨洞的手術には、上口唇下を切開する方法と直接鼻腔からアプローチする方法に分けられます。また、手術用顕微鏡を使用する場合と神経内視鏡を用いる場合、およびその両者を併用する場合があります。また、開頭術は、腫瘍の性状や伸展方向に応じていくつかのアプローチがあります。
放射線療法は、手術により可能な限り腫瘍を摘出した後、手術的に摘出困難な領域に残存した腫瘍に対して行うことが原則です。
放射線療法は一般的な放射線療法と定位的放射線療法 (ガンマナイフ)に大別されます。
一般的な放射線療法では、残存腫瘍や腫瘍の再発・再増大における腫瘍の増殖制御の有効性は認められています。しかし、その副作用として視神経の障害、正常下垂体[2]の機能障害、血管障害、放射線に誘発された腫瘍などの問題があります。
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