概要
上顎洞というのは、鼻の横から奥に広がっている大きな空洞をいいます。正面からみると、鼻の横、目の下あたりにある空洞のことを指します。
この上顎洞内が炎症を起こし膿が貯まる病気が蓄膿症(ちくのうしょう)ですが、ここに腫瘍が発生したものを上顎洞がんといいます。
症状
上顎洞がんは、初期の段階では無症状ですが、腫瘍が大きくなってくると、鼻づまり、血や膿が混じった悪臭を放つ鼻汁、顔面の腫れ、歯の痛み、眼球が飛び出してくるなどの症状がみられます。
原因
原因は不明ですが、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)が一つの原因とされています。
診療科
耳鼻咽喉科
検査
スプレーで麻酔をして、鼻から細いファイバースコープを挿入して鼻の中を良く観察します。
腫瘍が鼻腔に広がっている時は、そこから生検することが可能で、顕微鏡による組織学的所見を得ることができます。
鼻腔に広がらず、がんが疑わしい場合は、歯肉から切開して生検を行います。
がんの進行状態をみるにはCT検査が有用です。頸部のリンパ節に転移することがあるので、頸部のCT検査、超音波エコーなども行います。
診断
病期 ステージ
合併症
薬
(例)
治療法
手術療法
早期がんでは鼻の穴から内視鏡を用いて行う手術(ESS)を行います。
進行がんでは歯ぐきから切開して行います。
三者併用療法
抗がん剤動注化学療法と放射線治療と手術を組み合わせて行います。
抗がん剤動注療法は、がんを育てている動脈(栄養血管)に高濃度の抗がん剤を注入する方法です。
通常、耳の前の動脈に細いチューブを入れ、抗がん剤を投与する方法が行われています。
投与される抗がん剤の種類、量は病院によって異なりますが。多くは、シスプラチンなどのプラチナ製剤やフルオロウラシル(代謝拮抗薬)が使用されます。
たいていの場合、放射線治療も同時に行います。そうして、がんを小さくした後に手術を行います。
超選択的抗がん剤動注療法+放射線治療
がんが大きく成長すると、がんを育てる動脈(栄養血管)が増えてきます。
全ての栄養血管に抗がん剤を注入するために行われる治療法が超選択的抗がん剤動注療法です。
足の付け根の血管からカテーテルを挿入し、造影剤を使い栄養血管を確認した後に抗がん剤を注入します。
ほとんどの病院で放射線治療を同時に行います。
病院によっては強度変調放射線治療(IMRT)を行い、眼球に放射線が当たらないようにし、白内障などの合併症を予防しています。
これらの治療でがんが消えたと判断された場合は手術を行わない場合もあります。
Counter: 1267,
today: 1,
yesterday: 1
初版日時: 2017-08-17 (木) 19:55:38
最終更新: 2019-04-09 (火) 10:52:39 (JST) (1843d) by kondo
お気軽に投稿してください。一言でもどうぞ。病気の治療、薬の副作用のことなど。