ミトコンドリアは全身の細胞の中にあってエネルギーを産生する働きを持っていますが、そのミトコンドリアの働きが低下すると、細胞の活動が低下します。
ミトコンドリアの働きが低下することが原因で起こる病気[2]を総称してミトコンドリア病と呼んでいます。
ミトコンドリア脳筋症
- 慢性進行性外眼麻痺症候群(CPEO)
眼瞼下垂、外眼筋麻痺。発症年齢は幅広い。多くの場合ミトコンドリアDNAに欠失がある。
- カーンズ・セイヤー症候群(KSS:Kearns-Sayre syndrome)
外眼筋麻痺、網膜色素変性、心伝導ブロックが三主徴である。筋力低下などを併発する。
- 赤色ぼろ線維・ミオクローヌスてんかん[4]症候群(福原病、マーフ、ragged-red fiberを伴うミオクローヌスてんかん[4])(MERRF)
ミオクローヌス、痙攣、小脳症状、筋症状が主。子供に多い。知的退行、歩行障害に至る。心筋症を合併する。福原信義らによって1980年に新潟で発見された。ragged-red fiber(赤色ぼろ線維)は異常ミトコンドリアの染色像である。母系遺伝。
- ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様症候群(メラス、卒中様症状を伴うミトコンドリア脳筋症)(MELAS)
脳卒中様の発作を起こすことが特徴。頭痛、嘔吐が初発症状であることが多い。筋力低下、知能障害などが起こる場合もある。小児に多い。血清・髄液中の乳酸値が高い。後頭葉に多発性脳梗塞様のCT、MR所見を認める。母系遺伝。
脳の神経細胞のミトコンドリアの働きが低下すると、見たり、聞いたり、物事を理解したりすることが障害されます。
心臓の細胞であれば、血液を全身に送ることができなくなります。
筋肉の細胞であれば、運動が障害されたり、疲れやすくなったりします。
ミトコンドリアの働きを低下させる原因として、遺伝子の変化に由来する場合と、薬物などが原因でおきる場合があります。
- タウリン散[9](一般名:タウリン製剤)
MELAS症候群における脳卒中様発作を抑制する。
症状に対する治療法がある場合にはそれを積極的に行います。
インシュリン分泌が低下して糖尿病[12]になっている場合にはインシュリンを使用したり、けいれんがあるときは抗けいれん剤を使用します。
ミトコンドリアのはたらき自体を回復させるために、ミトコンドリアの中でエネルギーを作る過程に必要な栄養素やビタミンを補充します。