パーキンソン病では、脳幹に属する中脳の黒質という部分と、大脳の大脳基底核にある線条体[2]という部分に異常が起こることで発病します。
パーキンソン病では、黒質に異常が起こって正常な神経細胞を減少させるため、そこでつくられるドパミンの量が低下し、黒質から線条体[2]に向かう情報伝達経路がうまく働かなくなっている状態ということがわかっています。
このため、姿勢の維持や運動の速度調節がうまく行えなくなるなど、パーキンソン病特有の症状が現れると考えられています。
黒質でつくられるドパミンの量が正常な人の20%以下まで低下すると、パーキンソン病の症状が現れるといわれています。
パーキンソン病の主な初期症状は、ふるえ、固縮、無動、姿勢障害です。
体の力を抜いてリラックスしたときに震えが起こります。逆に力を入れたときに震えることもあります。
例えば、手を膝に置き、じっと座っていると膝の上の手がふるえだします。手を膝から離して何かをしようとするとふるえは消えます。
筋肉がこわばって、手や足の動きからスムーズさが失われ、固く縮んだようになります。
椅子に座ったとき、足や手をゆらすことが少なくなります。
人より遅れて歩くようになる、まばたきの回数が減る、字を書くと小さな字になる場合があるというように、健康な人に比べて体の動きが異常に少なくなります。
体の姿勢を変えようとするときにスムーズにできなくなります。立っているだけでは問題がありませんが、人とぶつかったり、押されてバランスを崩したときなど、元の姿勢に戻ることがスムーズにできなくなります。
便秘、排尿障害、立ちくらみ、発汗異常といった自律神経症状があります。
また、気持ちが落ち込む、うつ症状もあります。
症状と徴候および日常生活機能度によって下記のように分類(ヤール分類)されます。
パーキンソン病は、高率に認知症を合併します。
低下したドパミンの量に対して、放出の促進をはかり、ドーパミンの量を増やそうとする薬です。
レボドパは、ドパミンの1つ手前の化合物で、脳に入ってドパミンに変わります。脳で不足しているドパミンを補うために飲む薬ですが、ドパミンでは脳に届きません。レボドパで飲むと、その一部が脳に入り、ドパミンに変わってドパミン受容体に作用することが可能となります。
この薬は、ドパミンを受け止めるドパミン受容体を刺激してレボドパの効果を高めます。レボドパと一緒に使われることの多い薬です。
パーキンソン病では、脳内のドパミンの量が減っていることでアセチルコリンとのバランスが崩れ、アセチルコリンの作用が強く出ていると考えられます。このため抗コリン薬を投与してアセチルコリンの作用を弱め、ドパミンとのバランスの回復をはかることで症状を改善します。
パーキンソン病では、歩いているうちに足がすくんでスムーズに歩けなくなる「すくみ足」という症状があります。
ノルアドレナリン補充薬は「すくみ足」に対して効果が期待できます。
日本神経学会が作成した「パーキンソン病治療ガイドライン」に従って治療を行います。
パーキンソン病の治療は、脳内のドーパミンを補充することが基本になります。
薬物の効果がみられないなど、一定の条件を満たした場合に手術療法が行われることがあります。
また、運動機能の低下を防ぐためにリハビリテーションも行います。
パーキンソン病の薬物療法では、どの薬でも共通した副作用として幻覚や幻視などの精神症状が起こります。
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