アルガトロバン水和物
選択的抗トロンビン剤
- ノバスタンHI注 (製薬会社:田辺三菱製薬株式会社)
作用と効果
- 発症後48時間以内の脳血栓症急性期(ラクネを除く)に伴う神経症候(運動麻痺),日常生活動作(歩行,起立,坐位保持,食事)の改善
- 慢性動脈閉塞症(バージャー病・閉塞性動脈硬化症)における四肢潰瘍,安静時疼痛ならびに冷感の改善
- 下記患者における血液体外循環時の灌流血液の凝固防止(血液透析)
- 先天性アンチトロンビンIII欠乏患者
- アンチトロンビンIII低下を伴う患者(アンチトロンビンIIIが正常の70%以下に低下し,かつ,ヘパリンナトリウム,ヘパリンカルシウムの使用では体外循環路内の凝血(残血)が改善しないと判断されたもの)
- ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)II型患者
- ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)II型(発症リスクのある場合を含む)における経皮的冠インターベンション施行時の血液の凝固防止
- ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)II型における血栓症の発症抑制
用法・用量
- 発症後48時間以内の脳血栓症急性期(ラクネを除く)に伴う神経症候(運動麻痺),日常生活動作(歩行,起立,坐位保持,食事)の改善
通常,成人に,はじめの2日間は1日6管(アルガトロバン水和物として60mg)を適当量の輸液で希釈し,24時間かけて持続点滴静注する。その後の5日間は1回1管(アルガトロバン水和物として10mg)を適当量の輸液で希釈し1日朝夕2回,1回3時間かけて点滴静注する。なお,年齢,症状に応じて適宜増減する。
- 慢性動脈閉塞症(バージャー病・閉塞性動脈硬化症)における四肢潰瘍,安静時疼痛ならびに冷感の改善
通常,成人1回1管(アルガトロバン水和物として10mg)を輸液で希釈し,1日2回,1回2〜3時間かけて点滴静注する。なお,年齢,症状に応じて適宜増減する。
- 下記患者における血液体外循環時の灌流血液の凝固防止(血液透析)
- 先天性アンチトロンビンIII欠乏患者
- アンチトロンビンIII低下を伴う患者
(アンチトロンビンIIIが正常の70%以下に低下し,かつ,ヘパリンナトリウム,ヘパリンカルシウムの使用では体外循環路内の凝血(残血)が改善しないと判断されたもの) - ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)II型患者
通常,成人に,体外循環開始時に1管(アルガトロバン水和物として10mg)を回路内に投与し,体外循環開始後は毎時2.5管(アルガトロバン水和物として25mg)より投与を開始する。凝固時間の延長,回路内凝血(残血),透析効率および透析終了時の止血状況等を指標に投与量を増減し,患者毎の投与量を決定するが,毎時0.5〜4管(アルガトロバン水和物として5〜40mg)を目安とする。
- ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)II型(発症リスクのある場合を含む)における経皮的冠インターベンション施行時の血液の凝固防止
本剤を適当量の輸液で希釈し,通常,成人にアルガトロバン水和物として0.1mg/kgを3〜5分かけて静脈内投与し,術後4時間までアルガトロバン水和物として6μg/kg/分を目安に静脈内持続投与する。
その後抗凝固療法の継続が必要な場合は,0.7μg/kg/分に減量し静脈内持続投与する.なお,持続投与量は目安であり,適切な凝固能のモニタリングにより適宜調節する。
- ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)II型における血栓症の発症抑制
本剤を適当量の輸液で希釈し,通常,成人にアルガトロバン水和物として0.7μg/kg/分より点滴静注を開始し,持続投与する。
なお,肝機能障害のある患者や出血のリスクのある患者に対しては,低用量から投与を開始すること。
活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)を指標に投与量を増減し,患者毎の投与量を決定する。
副作用
- 脳血栓症急性期
血尿等の血小板・出血凝血障害,血管(心臓外)障害(出血性脳梗塞),発疹等の皮膚・皮膚付属器障害
AST(GOT),ALT(GPT)の上昇等の肝臓・胆管系障害,消化管出血等の血小板・出血凝血障害
- 慢性動脈閉塞症
熱感,下肢痛等の一般的全身障害,下痢,嘔気等の消化管障害,発疹,皮疹等の皮膚・皮膚付属器障害
出血,血尿等の血小板・出血凝血障害,AST(GOT),ALT(GPT)の上昇等の肝臓・胆管系障害 等
- 血液体外循環
下痢
血小板・出血凝血障害,赤血球障害,肝臓・胆管系障害,代謝・栄養障害,白血球・網内系障害
- ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)II型における血栓症の発症抑制
出血関連,肝障害,皮疹 等
重大な副作用
- 出血性脳梗塞
脳血栓症急性期の患者に使用した場合,出血性脳梗塞があらわれることがある。 - 脳出血,消化管出血
- ショック・アナフィラキシーショック
蕁麻疹,血圧低下,呼吸困難 等があらわれることがある。 - 劇症肝炎,肝機能障害,黄疸
劇症肝炎等の重篤な肝機能障害,黄疸があらわれることがある。
その他の副作用
副作用 | 5%以上 | 0.1~5%未満 | 0.1%未満 | 頻度不明 |
血液及びリンパ系障害 | - | 凝固時間の延長,出血,血尿,貧血(赤血球,ヘモグロビン,ヘマトクリット値の減少),白血球増多,白血球減少,血小板減少 | - | - |
肝臓 | - | AST(GOT)上昇,ALT(GPT)上昇,Al-P上昇,LDH上昇 | 総ビリルビン上昇,γ-GTP上昇 | - |
肝胆道系 | ||||
腎臓 | - | BUN上昇,クレアチニン上昇 | - | - |
泌尿器 | ||||
生殖系及び乳房 | ||||
精神系 | ||||
神経系 | ||||
感覚器 | ||||
眼 | ||||
耳 | ||||
錐体外路症状 | ||||
循環器 心臓 | ||||
血管 | - | - | 血管痛,血管炎 | - |
呼吸器 | ||||
消化器 | - | 嘔吐,下痢 | 食欲不振,腹痛 | - |
皮膚・皮下組織系 | ||||
過敏症 | - | 皮疹(紅斑性発疹等) | そう痒,蕁麻疹 | - |
下垂体・副腎皮質系 | ||||
免疫系 | ||||
代謝及び栄養 | ||||
内分泌 | ||||
筋骨格系及び結合組織障害 | ||||
全身 | ||||
投与部位 | ||||
感染症 | ||||
抵抗機構 | ||||
その他 | - | 頭痛 | 四肢の疼痛,四肢のしびれ,ふらつき,不整脈,心悸亢進,熱感,潮紅,悪寒,発熱,発汗,胸痛,過換気症候群,呼吸困難,血圧上昇,血圧低下,浮腫,腫脹,けん怠感,血清総蛋白減少 | - |
臨床検査 |
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