コルチゾールという副腎皮質ステロイド[3]ホルモンが過剰に分泌され、満月様顔貌や中心性肥満など特徴的な症状を示す病気[4]をクッシング症候群[5]といいます。
コルチゾールは生きて行くのに不可欠なステロイドホルモンで、下垂体[1]から出てくる副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)というホルモンによって促進されます。ACTHは、さらに上位の脳にある視床下部[6]から分泌されるCRHというホルモンの調節を受けています。
この視床下部CRH-下垂体ACTH-副腎コルチゾール系の中で、結果的に副腎のコルチゾールが過剰に産生・分泌され特徴的な症状を示す状態をクッシング症候群[5]といいます。
クッシング症候群[5]の中にもいくつか原因があります。ACTHが過剰に分泌され、その結果コルチゾールが増える状態をACTH依存性クッシング症候群[5]といいます。
さらにこの中で下垂体[1]に原因がありACTHを過剰に出す病気[4]をクッシング病、下垂体[1]以外からACTHが過剰に分泌される病気[4]を異所性ACTH症候群といいます。
一方、副腎が原因でコルチゾールを過剰に分泌する状態をACTH非依存性クッシング症候群[5]または副腎性クッシング症候群[5]といいます。
糖質ステロイドホルモンのコルチゾールが過剰に分泌されるので、長期にわたると前腕や下肢の皮膚が薄くなり、皮下の毛細血管が透けて見えてピンクのまだら模様になります。
やがてお腹周りが太いわりに大腿部が細くなってきます。さらにぶつけた自覚がなくとも皮下出血しやすくなり、顔もむくんだ赤ら顔になります。
さらには多毛、にきび、腹部や臀部に赤い筋ができます。子供で発症すると背が伸びなくなります。
うつ傾向もでてきます。副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が多くなると、皮膚のこすれるところや関節部の皮膚が黒っぽくなります。病気[4]が進行すると感染に弱くなり、敗血症[8]で亡くなることがあります。
クッシング病は、下垂体[1]に副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)を産生する腺腫ができてACTHの過剰分泌を生じることが原因と考えられています。
何故、ACTHを産生する下垂体腺腫[10]ができるかについては分っていません。
原因のほとんどが下垂体腺腫[10]ですので、手術的に下垂体腺腫[10]を摘出することが最も良い方法です。
ただし、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)を産生する下垂体腺腫[10]は小さいことが多いため、通常のMRI検査[21]で見つけにくい場合もあります。一度手術をした後でも、腫瘍が再発した場合には、再度手術を考慮します。
下垂体腺腫[10]から産生されるACTHを確実に抑える薬がないため、副腎に作用して直接にコルチゾール産生を抑える薬を用います。
下垂体腺腫[10]に対して放射線療法を試みる場合もありますが、副作用として正常な下垂体[1]機能が損なわれる下垂体[1]機能低下症を発症することがあります。
(This host) = https://www.joy-mix.com