ウイルスに感染したとき、血液や分泌物からウイルスを検出できれば確実に診断を下すことが出来ます。しかし、ウイルスそのものを検出することは難しいことが多いので、ウイルス感染したときに体内に生じる抗体を検出することによって、ウイルスの感染の有無を調べる検査が行われます。これがウイルス抗体価検査です。
ウイルス(抗原)が体内に入ってくると間もなく、抗原に対する抗体という物質をつくります。抗体は免疫グロブリン[2]というタンパク質で5種類が明らかにされていますが、そのうち感染の防御に関係しているのはIgMとIgGです。IgMはウイルスが体内に入ってくると間もなく増えはじめ、約2週間でピークに達したあと減少して、1~2ヶ月でほとんどなくなります。
一方、IgGはIgMに数日遅れて出現し、IgMが減少し始めても増え続けウイルスを退治したあとも高い値を続けます。IgGはその後少しづつ減っていきますが、同じウイルスが再び侵入すると、2~3日で急に増加してウイルスを追い払い、そのウイルスに感染することはなくなります。
なお、ウイルス肝炎やエイズ[3]などで、ウイルスの種類を鑑別する検査が開発されているものは、その検査を行われます。
ウイルス抗体価検査には、ペア血清検査とIgM抗体検査があります。ペア血清検査は感染した直後と、それから10~14日後に血液を採取して抗体の量を調べます。
IgM抗体検査は、発症してすぐに血液を採取してIgM抗体だけを調べ、その値が高ければ新たにウイルスに感染したということが分ります。
なお、抗体の検査は感染してから約2週間くらい経過しないと検出できないので、潜伏期の診断には役立ちません。
血液を採取して、血清を分析器にかけて検出します。
感染後、数週間経過しないと検出できません。
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