概要
重度の精神発達の遅れ、てんかん、失調性運動障害、容易によく笑うなどの行動を特徴とする疾患です。
顎が尖っている、口が大きいなどの特徴がみられます。
症状
乳児期後半から発達の遅れに気づかれることが一般的です。意味のあることばを話すようになることは稀ですが、理解の発達は比較的良いとされています。80%ほどにてんかんが合併します。痙攣は乳児期に熱性痙攣としておこることが最も多いです。その後のてんかんの発作にはいろいろな形が知られています。
行動の特徴としては、容易に引き起こされる笑い、落ち着きのなさや旺盛な好奇心、水やビニールなどキラキラしたものに対する興味がみられます。
乳児期から幼児期に睡眠障害の合併が多く、夜間中途覚醒や遅い入眠と早期覚醒がよくみられます。
原因
15番染色体短腕q11-q13に位置するUBE3A遺伝子の働きが失われることで発症します。
UBE3A遺伝子の働きが失われるメカニズムとして、15q11-q13の母性染色体微細欠失(70%)、15番染色体父性片親性ダイソミー(5%)、ゲノムインプリンティングの障害である刷り込み変異(5%)、UBE3Aの変異(10%)が知られています。残り10%には遺伝学的異常が同定できません。
欠失と片親性ダイソミーには次子への遺伝性はありません。刷り込み変異の10%とUBE3A変異の30%程度は遺伝性があります。
診断
15番染色体の15q11.2-15q11.3領域に欠失・片親性ダイソミー・インプリンティング異常のいずれかを認める、ないし原因遺伝子(UBE3A遺伝子等)に変異を認め、下記の症状3及び4を伴う場合、アンジェルマン症候群と診断が確定する。
- 主要症状
1.容易に引き起こされる笑い
2.失調性歩行
3.下顎突出を含む特徴的な顔貌
4.精神発達遅滞
5.てんかん発作
合併症
内臓の病気の合併はありません。
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