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Alport症候群 [1]
アルポート症候群は、慢性腎炎、難聴、眼の合併症を呈する症候群で、しばしば末期腎不全へと進行します。
- 慢性腎炎
典型例では幼少期から尿検査で血尿を認めます。風邪を引いた時には肉眼的血尿と呼ばれる赤またはコーラ色の尿が出ることがあります。
年齢とともに蛋白尿を認めはじめ、非常にゆっくりした経過で末期腎不全へと進行することがあります。
最も頻度の高いCOL4A5遺伝子の異常に伴うX染色体連鎖型アルポート症候群では、男性では40歳までに約90%の患者さんが末期腎不全に進行します。
一方、女性では40歳までに約10%の患者さんが末期腎不全へと進行します。
- 難聴
出生時や幼少期に認めることはありません。しかし、最も頻度の高いCOL4A5遺伝子の異常に伴うX染色体連鎖型アルポート症候群では、男性のほとんどの場合10歳以降に発症し、最終的には80%の患者で難聴が認められます。一方女性では20%の患者に認められます。
- 眼合併症
白内障や円錐水晶体などを認めることがあります。最も頻度の高いCOL4A5遺伝子の異常に伴うX染色体連鎖型アルポート症候群では、男性の患者の約3分の1に認められます。一方、女性では非常に稀と考えられています。
- びまん性平滑筋腫
非常にまれな合併症で、良性腫瘍を発症します。食道に最もよく見られ、その他、女性生殖器、気管にも見られることがあります。
遺伝性の疾患であり、ほとんどの場合、ご家族が腎炎を罹患しています。しかし、約20%の割合で家族歴がなく、遺伝子の突然変異により発症します。
腎臓の糸球体という部分を構成するのに重要な蛋白である4型コラーゲンのα3鎖、α4鎖またはα5鎖をコードしている遺伝子COL4A3、COL4A4、COL4A5遺伝子のいずれかに異常がある場合発症します。
主な合併症として、神経性難聴、特徴的眼病変(前円錐水晶体、後嚢下白内障、後部多形性角膜変性症、斑点網膜など)があります。
アンジオテンシン変換酵素阻害薬やアンジオテンシン受容体拮抗薬の内服による腎臓保護効果による治療を行います。
末期腎不全へと進行した際は、透析や腎臓移植など、腎代替療法と呼ばれる治療が必要です。