概要 
甲状腺ホルモンの分泌が低下して活動性が低下する病気です。圧倒的に女性に多く、男女比は1:10以上の比率です。 先天性の場合はクレチン病と呼び、成人に発病し症状がはっきりしている場合は粘液水腫と呼びます。
甲状腺ホルモンとは 
甲状腺から分泌され、全身の細胞に作用して細胞の代謝率を上昇させる働きがあるあみの酸誘導体のホルモンのことです。
トリヨードサイロニン(トリヨードチロニン、triiodothyronin、T3)とサイロキシン(チロキシン、thyroxin、T4)の2種類の甲状腺ホルモンがあります。
これらは、ホルモン1分子中のヨードの数が違います。 血中を循環する甲状腺ホルモンのほとんどはT4ですが、生理活性が強いのはT3です。甲状腺からはT3、T4の他に、かるシトニンと呼ばれる別の生理作用を持つホルモンも分泌されますが、これは甲状腺ホルモンとは異なります。
原因 
橋本甲状腺炎により甲状腺が徐々に破壊されるにつれて甲状腺の機能低下が進行します。 痛みのない亜急性甲状腺炎と痛みを伴う亜急性甲状腺炎は、ともに一過性の甲状腺機能低下を起こします。 また、甲状腺機能亢進症や甲状腺癌の治療で使われる放射性ヨード治療または甲状腺の外科的除去のために、甲状腺ホルモンが作られなくなった場合にも起こります。 多くの開発途上国では、慢性的なヨード不足の食事が甲状腺機能低下症を引き起こします。
比較的稀な原因 
甲状腺細胞中の異常酵素が、甲状腺の十分な甲状腺ホルモンの産生と分泌を妨げる遺伝性の病気により起こります。
甲状腺を正常に刺激する甲状腺刺激ホルモンを、視床下部も下垂体も十分に分泌できない場合に起こります。
甲状腺ホルモン不応症・TSH受容体異常症などの難治性疾患により、何らかの理由で甲状腺ホルモンを活性化できない体質の方が少数ながらおり、
この時も数値以外は甲状腺機能低下症と同じ症状を呈する事があります。
症状 
甲状腺ホルモンが不足すると、身体機能が低下します。
貧血が起こりやすくなり、低体温となり、夏でも汗をかかなくなります。多くの患者は体重が増え、便秘で、冷え性になります。
無月経になることもよくあります。 顔の表情が乏しくなり、まぶたは垂れて、眼と顔や手足が浮腫みます。声がかすれ、話し方が遅くなります。
毛髪は薄くて粗くパサツキやすく、まゆ毛の両端が次第に抜けます。皮膚はきめが粗く、乾燥しやすく、ウロコ状に厚くなります。
手根管症候群 手がうずいて痛むことがあります。
- カロチン血症
脈拍が遅くなり、手のひらと足の裏がわずかに黄色みを帯びます。 - 高齢者
錯乱、もの忘れ、痴呆の様な症状が現れます。 - 精神障害
甲状腺ホルモンは「元気のもと」と言われています。この「元気のもと」がなくなると、身体機能と同様、精神機能も低下します。うつ病を疑って病院にかかり、甲状腺機能検査をしたところ「甲状腺機能低下症だった」という事がよくあります。
診断 検査 
- 血液検査
甲状腺ホルモン サイロキシン(チロキシン:T4)・トリヨードサイロニン(トリヨードチロニン:T3)
軽症以上の甲状腺低下症では血中甲状腺ホルモン(遊離T3、遊離T4)が低下します。 - 甲状腺刺激ホルモン(TSH)
ごく軽症の甲状腺機能低下症でも甲状腺刺激ホルモン(TSH)は高値になります。
健康診断の一般的検査では、コレステロールやクレアチンキナーゼの数値が高くなるため、これにより甲状腺機能低下症が見つかる場合があります。
原因を調べるために抗甲状腺抗体(抗Tg抗体、抗TPO抗体)の測定もよく行われます。
橋本病では抗甲状腺抗体(抗Tg抗体、抗TPO抗体)が陽性になります。- 遊離T4(FT4)1ng/dl以下総T45µg/dl以下
- 遊離T3(FT3)2.5pg/ml以下TSH8mU/l以上(潜在性機能低下症:3〜8mU/)
- 総コレステロール300mg/dl以上CK/CPK*1300U/ml以上
- 抗サイログロブリン抗体陽性
処方される薬について 
- 合成T4製剤(levothyroxine)
商品名:チラーヂンS 口から飲んだT4製剤の70?80%が小腸から吸収されます。
血清T3の80%は吸収されたT4から変化したものなので甲状腺ホルモンの補充療法は通常、合成T4製剤だけで充分です。また内服を中断しても、
すぐには血液中の甲状腺ホルモン濃度は下がりません。 - T4製剤の吸収を妨げる薬物
コレスチラミン(コレステロール下降薬)、鉄剤(造血剤)、アルミニウム製剤(胃薬)などです。 - 合成T3製剤(liothyronine)
商品名:チロナミン 服用した合成T3製剤のほぼ100%が吸収されます。
T3は速やかに吸収されるため、内服した後の血中濃度は2〜4時間後にピークに達します。 - 乾燥甲状腺製剤
商品名:チレオイド・チラーヂン末 牛、豚などの甲状腺の抽出物で、製剤ごとの甲状腺ホルモン量が一定していません。
ひと由来ではありませんので、アレルギー症状が出る事があります。
治療法について 
甲状腺ホルモンの投与を行います。甲状腺ホルモンとして、サイロキシン(チラージンS)の錠剤を服用します。少量から始め、甲状腺ホルモンと甲状腺刺激ホルモンを測定して、正常域に入ったことを確認後、その量を長期にわたり服用します。薬の副作用が起こることはありません。
甲状腺ホルモンの投与と並行して、食事・運動療法が採用される事があります。これは、生活習慣病を合併しやすいという甲状腺疾患特有の現象でもあり、生活習慣病を避けるために、正常期に入ってから提案されます。
何よりも、患者さんがストレスを感じる事なく生活できる事が、この病気とうまく付き合うための一番の秘訣とも言われています。
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