IP 概要 
間質性肺炎、(IP:Interstitial Pneumonitis)は肺の間質組織を主座とした炎症を来す疾患の総称で、非常に致命的であると同時に治療も困難な難病です。 放射性肺炎や薬剤性肺炎、ウイルス性肺炎、過敏性肺炎、じん肺、膠原病に伴う肺炎などがあると、そこからなんらかの刺激が原因となって、間質性肺炎が起こるものと考えられています。しかし、原因不明のものも少なくありません。
肺の機能 
肺呼吸 肺は、空気を含んだ柔らかい小さな肺胞の集まりです。肺胞の壁(間質)は大変薄く、その中にいろいろな細胞とともに血液を含む血管が含まれています。
肺は、肺胞の薄い膜を通して、空気から血液中に酸素をとりこみ、老廃物である二酸化炭素を放出しています。
原因 
関節リウマチ、多発性筋炎・皮膚筋炎、全身性強皮症などの膠原病、なんらかの物質の吸入、薬剤などで肺胞の壁の中や周辺に炎症が起こり、細胞やコラーゲンなどが増加し壁が厚くなります。
分類 
- 通常型間質性肺炎 (UIP:Usual Interstitial Pneumonia)
多くの病理学者は、特発性肺線維症 (IPF:Ideopathic Pulmonary Fibrosis)とUIPとを同じ意味で使用しています。厳密にはIPFの方が広い意味をもっています。 慢性、風邪等により急性憎悪する場合がある。ステロイドへの反応は悪い。 経過、予後はきわめて悪い。
完全に回復することはなく、病状を悪化させないことに注意する。通常は、徐々に肺の線維化、肺の縮小が起きてゆき、呼吸が困難になっていく。
死亡原因は、呼吸不全(約40%)、心筋症(約30%)、肺がん(約10%)となっている。 5年後生存率 32% 平均余命5-6年 - 急性間質性肺炎 (AIP:Acute Interstitial Pneumonia)
急性、ステロイドへの反応は悪い。経過、予後は極めて悪い。 ただし、まれに完全回復する場合がある。始め高熱があり、風邪の症状が出て急速に呼吸困難が進む場合が多い。
回復する場合は自然回復。 5年後生存率 38% 平均余命1-2ヶ月 - 分類不能な間質性肺炎 (NSIP:Non-Specific Interstitial Pneumonia)
NSIPはさらにI群、II群、III群に細分化されています。I群は線維化なし、II群は線維化有り、蜂巣化無し、III群は線維化、蜂巣化ともに有るタイプです。
亜急性〜慢性、ステロイドへの反応は良好。 経過、予後は一般的に良いが、稀に不良あり。病状の改善、完全回復あり。
予後はBOOPと比較すると良くない。 5年後生存率 89% - 閉塞性細気管支炎 (BOOP:Bronchiolitis Obliterans Organizing Pneumonia)
亜急性、ステロイドへの反応は良好。
経過、予後は良好。病状の改善、完全回復あり。予後はNSIPより良い。 - 剥離性間質性肺炎 (DIP:Desquamative Interstitial Pneumonia)
慢性、ステロイドへの反応は良好。経過、予後は良好。病状の改善、完全回復あり。 5年後生存率 73% - 呼吸細気管支の間質性肺炎 (RBILD:Respiratory Bronchiolitis-associated Interstitial Lung Disease)
慢性、ステロイドへの反応は良い。経過、予後は良好。病状の改善、完全回復あり。
5年後生存率 100% 病気の症状 咳が出たり、酸素がうまく取り込めなくなり息苦しくなります。一過性の場合もありますが、
炎症が治った後も傷が残り肺が固くなる場合があります。病気が進行すると、肺胞壁が厚くなり、肺胞の形も不規則になって肺全体が固くなり膨らみにくくなるため、呼吸を維持することが困難になる場合もあります。 また、肺線維症に進行すると咳などによって肺が破れて呼吸困難や呼吸不全に陥ることがあります。
検査 
肺炎は、普通は細菌による感染であり、抗生物質などの治療で軽快します。しかし、抗生物質の効きにくい肺炎や胸のレントゲン検査で左右に影があるような場合は間質性肺炎を疑う必要があります。
患者の呼吸状況等から間質性肺炎の疑いがある場合、通常、病名を確定するため血液検査、胸部レントゲン、呼吸機能テスト(PFT、Pulmonary Function Tests)、気管支鏡検査、開胸肺生検または胸腔鏡下肺生検(VATS:Video-Assisted Thorascopic lung biopsies)が行われます。
また、その他の試験として運動検査、心電図等も実施される場合があります。
血液検査 
間質性肺炎の活動性を反映する血液検査の指標として、血清マーカー「KL-6」が優れています。一般的に500U/mlが活動期、非活動期の判断基準と言われています。
KL-6は副腎皮質ホルモンの大量療法(ステロイドパルス療法)前後の治療効果の判定や、安定慢性期の患者さんの定期検査に用いられます。
血液検査は、リウマチ因子陽性や抗核抗体など、間質性肺炎の原因となるその他の病気が存在の確認にも有効です。
レントゲン 
通常、胸部レントゲンが撮影されます。X線は正常部分と比較して炎症あるは線維化した部位は透りにくいため、その部分は白く写ります。
間質性肺炎の一般的な異常は、小さな節を伴う網状の線で、これらは一般的に肺の下部において顕著に見られます。また、肺の容量も通常減少しています。しかし、下記の理由から胸部レントゲンだけで間質性肺炎を確定するのは困難です。10%近い間質性肺炎患者の胸部レントゲンは正常の胸部レントゲンと同様である。
- 胸部レントゲンの異常所見だけでは間質性肺炎特有と診断することが困難で、その影像は肺炎や他の多くの肺疾患と類似している。
- 胸部レントゲンの変化は、病気の実際の進行度合いと必ずしも相関していない。
CTおよびHRCT 
間質性肺炎の症状が起こっている肺下部をより詳細にみるため通常HRCTによる撮影が行われます。
HRCTは、その名前のとおり通常のCTと比べ写真自体も鮮明で、その分解能は約0.5mmです。CTにおいて、他の肺疾患と区別して間質性肺炎の診断を下すためにはこの程度の分解能が必要となります。
間質性肺炎におけるCTまたはHRCTの所見は、胸部レントゲンと同じで網状の線です。これらの網状の線は、通常肺下部の外側に多く見られます。
これらの変化は、正常な肺の部位の中に入り混じるような形で異常な部位が発生している形で見られます。これらの異常部位は間質に炎症がおきていることを示します。また、蜂巣化が起こっているところは病気が進行しているところです。
肺機能試験(PFTP:ulmonary Function Test) 
肺機能試験は、肺がどの程度機能ているかを測定する試験です。肺活量(VCまたはスローVC)は、最大吸気努力後にゆっくりと呼出したときの最大呼気量です。簡単に検査でき、最も価値ある肺機能検査値の1つです。
なお、18歳以上の成人の推測正常値は次の公式によって得られます(肺活量は身長、性別、年齢、姿勢などによって違います)。
男性=27.63-(0.112×年齢)×身長 女性=21.78-(0.101×年齢)×身長
肺一酸化炭素拡散能(LCO:Diffusing Capacity of Lung for Carbon Monoxide)は、1回の呼吸で判定します。
患者は低濃度既知量の一酸化炭素(CO)を吸気し、10秒間息を止めた後にはきだします。これにより呼吸の間に吸収されたCO量は、肺胞がすの標本(終末呼気がす)に含まれるCOを分析することにより計算され、mL/分/mmHg単位で表されます。
間質に炎症および線維化がある場合は、一酸化炭素の血液中への拡散が妨げられます。
治療法について 
特発性間質性肺炎においては、ステロイド剤の効果が見込めるもにについては、ステロイド剤により病状の進行を止める、または改善することが治療の目的です。現在治療効果が認められている薬剤は、ステロイド剤と免疫抑制剤の2種類です。
副腎皮質ステロイド剤 
腎臓の上部にある副腎という臓器の外側の部分、副腎皮質で作られるホルモンです。そのため、副腎皮質ホルモンとも呼ばれています。
普通の状態でも常に体内で作られていて、体に対するいろいろなストレスに対処するなど生きていく上でとても重要な働きがあります。 このホルモンのうち、糖質コルチコイドという成分を化学合成したものをステロイド剤として治療に用います。
- 治療効果
ステロイド剤は、間質性肺炎の炎症に対して最も効果が期待できます。ただし、副作用も多く、典型的な両刃の剣となる薬剤です 隔日投与法 薬剤を投与した翌日は休薬日として、人間が自分で副腎皮質ホルモンを出させるようにする方法を適用されることがあります。 2日分の量を 1日目に投与し、翌日を休薬日として血中ステロイド量を 0にして生体からの副腎皮質ホルモンの分泌を促す方法です。- 注意事項
- どんなに注意していても飲み忘れということがあります。飲み忘れに気が付いた場合はすぐに服用します。
- もし、すでに次の服用時間になっていたら2回分服用することはせずに1回分だけ服用します。
- ステロイドを長期服用していると副腎機能が低下している場合が多いので、飲み忘れた時間が長いと症状悪化に繋がる恐れがあります。
- 副作用を恐れて勝手に減量したり、中止したりすると症状の悪化を招き、結局さらに長期間服用することになります。医師の処方を守ることが大切です。特に、急に中止すると、ときに発熱、頭痛、食欲不振、脱力感、筋肉痛、関節痛、ショックなどの離脱症状が現れることがあります。
- 注意事項
成人では、間脳、下垂体、副腎系の抑制(副腎皮質ホルモンが出なくなる)が生じる最小限はプレドニゾロン10mg/日と言われており、20〜30mg/日のプレドニゾロンを 1週間以上、またそれ以下も 1か月以上投与を続けると、完全に投与を中止してからその機能の回復には、 6〜9か月の期間が必要です。
パルス療法 
ステロイドパルス療法は、点滴によりステロイド剤を通常3日間程度大量投与する治療方法で、間質性肺炎の症状が急に悪化した場合や経口投与で改善が見られない時に行われます。 パルス療法で、よく使用されるのはメチルプレドニン(ソル・メドロール)という薬剤で、 たとえば1日 1回1000mgを 3日間投与した後にプレドニゾロン等の経口剤に切り替え、その量を漸減させていきます。
パルス療法(超大量ステロイド療法)には、鉱質ステロイド作用が少なく、比較的作用時間の短いメチルプレドニンが適しているといわれています。
ソル・メドロールはプレドニゾロンの1.25倍の強さがあります。 副腎皮質ステロイド剤の副作用 副作用は、臨床的には生命に危険を及ぼす重大な副作用と、危険の少ないその他の副作用に分けられます。 なお、重症副作用の出現頻度は、一般に10〜20%とされています。重大な副作用が出現した場合には、ステロイドの投与を継続することが困難となりますが、長期大量投与例では、急に中止すると急性副腎不全を起こすおそれがあるので注意が必要です。
- ステロイドの重大な副作用
感染症の誘発または増悪 続発性副腎皮質機能不全、糖尿病 消化性潰瘍(その他、消化管出血及び穿孔)、膵炎 精神障害(重篤なうつ病など)、痙攣 骨粗鬆症、大腿骨及び上腕骨などの骨頭無菌性壊死、ミオパチー 緑内障、後嚢白内障 血栓症 - その他の副作用
- 内分泌
月経異常、男性化(ざ瘡、多毛)など 消化器 下痢、悪心・嘔吐、胃痛、胸やけ、腹部膨満感、口渇、食欲不振、食欲亢進など 精神神経系(軽度精神症状) 不眠、情緒障害、多幸感、頭痛、めまい、電解質異常、特に細胞外のNa+増加及び脳酸素消費減少 筋・骨格 筋肉痛、関節痛、 筋萎縮、筋力低下(ステロイドミオパチー) - 脂質・蛋白質代謝
満月様顔貌、野牛肩、窒素負平衡、脂肪肝、中心性肥満、体重増加、脂肪沈着異常(体脂質の分布変化)、脂質は顔面、胴体部、頚に蓄積し、四肢で減少する。 - 体液・電解質
浮腫、血圧上昇、低カリウム性アルカロ-シスなど、尿細管におけるNa+再吸収促進(水分の組織内貯留)、K+ の排泄増加 眼 中心性漿液性網脈絡膜症などによる網膜障害、眼球突出など 血液 白血球増多など、プロトロン便時間を短縮、プロトロンビン単位を増加、血栓 皮膚 瘡、多毛、脱毛、色素沈着、皮下溢血、紫斑、皮膚の菲薄化・脆弱化、皮膚線条、掻痒、発汗異常、顔面紅斑、創傷治癒障害、脂肪織炎など 過敏症 発疹など --その他
発熱、疲労感、ステロイド腎症、精子数及びその運動性の増減
- 内分泌
免疫抑制剤 
間質性肺炎の治療に使われるのは、主にアザチオプリン(商品名イムランナド)とシクロフォスファミド(商品名エンドキサン)、シクロスポリン(商品名サンディミュンなど)の3種類です。これらのうちのどれかをステロイド剤と併用します。
投与量は最初少なく、だんだん増量してゆきます。ただ、いくら量が少ないとはいえ白血球が減ったり、生殖細胞に影響がでたりするため、男女を問わずとくに若い人には使いにくい面があるというのが難点です。
対症療法 
咳をやわらげるためにリン酸コデインなどの咳止め薬を使います。
息切れが強いときには酸素吸入が症状を楽にします。病気が進めば在宅酸素療法により、自宅で、あるいは出かけるときにも酸素吸入ができます。
在宅酸素療法とは、酸素を生成する器械を家庭に設置し、経鼻カニューレという管で鼻から酸素を1〜4リットル/min(量は症状に依存)を持続的に投与する方法です。
また、外出時は経鼻カニューレを携行型の酸素タンクに付け替えて外出します。 なお、在宅酸素療法の利用には保険が適用されます。
また、利用方法の詳細については病院から説明を受けることが出来ます。
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