身体表現性疼痛障害は、病院で血液検査をしても痛みの原因となるような検査結果が認められません。痛みを客観的に捉える指標がないため、医師は、痛みに悩む患者を病気[2]として認め、理解を深めることがなかなか出来ません。そのため、痛みに脳む患者は様々な医療機関を転々とすることになります。
痛みがあるため不眠や歩行困難など、日常生活に支障をきたすことが多くあります。 痛みが起こる原因は、痛みの感覚をコントロールするエンドルフィンというホルモンの供給不足という説もありますが、病気[2]の根本には、対人関係や家族関係などといった心理的な問題もあるといわれています。
発症の傾向としては、中高年の女性に多く、過去に家庭的に大きな負担を負わされたり、他人に自分を無理に合わせて生きてきたようなタイプの人に多く見られるようです。
身体症状としては、身体の各部位の痛み、胃腸症状、性機能の障害、運動や感覚の障害などがみられます。そのような身体症状があるにもかかわらず、身体症状を説明できるような身体的原因が見いだせないのが特徴です。また精神症状としては、抑うつ気分や不安があることが多いです。
1つまたはそれ以上の部位の疼痛により、QOLが障害される。 1つまたはそれ以上の解剖学的部位における疼痛が臨床像の中心を占めており、臨床的関与に値するほど重篤である その疼痛は、臨床的に著しい苦痛または、社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている
心理的要因が、疼痛の発症、重症度、悪化、または持続に重要な役割を呆たしていると判断される。その症状または欠陥は、虚偽性障害または詐病のように意図的に作り出されたりねつ造されたりしたものではない。
疼痛は、気分障害、不安障害、精神病性障害ではうまく説明されないし、性交疼痛症の基準を満たさない 分類としては、関連により次のように3分類される。
ICD10の診断基準
A. 身体のさまざまな部位において持続性(6か月以上の間、ほとんど毎日のように続いて)で重度な不快な疼痛がある。その痛みは生理的過程または身体的障害によって十分に説明のつくものでなく、常に患者の最大の関心の的であること。
B. 主な除外基準:統合失調症[6]とその関連障害の存在下、あるいは気分(感情)障害や身体化障害、鑑別不能型身体表現性障害および心気障害の罹病期間中だけに起こっているものではないこと。
医師は、痛みに悩む患者とよい治療関係を維持していくために、『患者の訴える痛み』について、耳を傾け「痛みは病気[2]である」と認めてあげることが大切です。
三環系抗うつ薬、SSRI、およびSNRIなどの抗うつ薬や抗不安薬を中心とした薬物療法、精神療法、心理教育、認知行動療法などがあります。さらに、精神科リハビリテーションなどが行われることがあります。
日常生活における軽度の運動により痛みの軽減が認められることもあります。
現在ではSSRIを中心に抗不安薬、三環系抗うつ薬を使います。SSRIの効果が出るまでに2週間ぐらいかかるので、その間の不安に対しては抗不安薬を処方します。SSRIは パニック障害[19] や 不安障害にもある程度効きます。
基本はSSRIをベースにしながら、ベンゾジアゼピン系の薬を合わせて使います。
薬物療法をする一方で、心理療法を並行して行います。特に心理療法の場合はその患者さんの個別の問題がいろいろとありますので、
患者に応じた心理治療を行います。
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