EDS 概要
皮膚、関節、血管など結合組織の脆弱性に基づく遺伝性疾患である。その原因と症状から、6病型(古典型、関節可動性亢進型、血管型、後側彎型、多関節弛緩型、皮膚脆弱型)に分類されている。
症状
古典型
- 皮膚
皮膚の感触はビロード状で、ぶつけたりこすれたり等の衝撃で簡単に裂けやすく、 また裂けた後の傷も治りにく い(脆弱性)。
治った後でも、シガレットペーパー様と呼ばれる瘢痕(細かい皺の集まった傷痕)を形成しやすい。
皮膚をつまむと数cmも伸び、離すと元に戻る(過伸展)。 - 関節
大・小関節の可動域が広い(過可動)。 - その他
出血しやすい(皮膚の下の青黒い出血斑や歯ぐきの出血など)。
胎盤の早期剥離、前期破水による早産になりやすい。
心臓 僧帽弁逸脱がみられることがある。
体が疲れやすい(易疲労性)。
関節可動性亢進型
- 関節
全身の関節(肩、膝蓋骨、顎など)が緩く(過可動)、脱臼しやすい。慢性的な関節・四肢痛を伴う。 - 皮膚
古典型と同様の症状だが、過伸展は軽度で、また裂傷や瘢痕も稀である。 - その他
僧帽弁逸脱、大動脈基部の拡張がみられることがある。
自律神経症状(立ちくらみなど)や消化器症状(過敏性大腸など)がみられることが多い。
EDSの全ての型の中で一番患者数が多いとされている。
血管型
- 動脈破裂
胸腹部、頭、足などの動脈がもろい。動脈瘤、動脈解離が先行することもある。 - 内臓破裂
消化管(S状結腸が多い)破裂を起こしやすい。妊娠中子宮破裂を起こすことがある。 - 皮膚
薄く、静脈が透けて見える。過伸展性はごく軽度である。皮下出血を反復しやすい。 - 関節
過可動性は軽度(指などの小さい関節が主)。先天性内反足が見られることもある。 - その他
気胸を起こすこともある。
後側彎型
- 皮膚
皮膚の感触はビロード状で、ぶつけたりこすれたり等の衝撃で簡単に裂けやすく、また裂けた後の傷も治りにくい(脆弱性)。
治った後でも、シガレットペーパー様と呼ばれる瘢痕(細かい皺の集まった傷痕)を形成しやすい。
皮膚をつまむと数cmも伸び、離すと元に戻る(過伸展)。 - 関節
過可動が見られる。新生児期または生後一年以内に進行性脊椎後側彎がみられる。 - 眼症状
角膜異常、強度の近視、網膜はく離、まれに眼球破裂。眼球の強膜はもろい。 - 動脈
破裂することがある。 - その他
筋緊張低下。骨粗鬆症。
皮膚弛緩型
- 皮膚
柔らかく緩い。余った皮膚がたるんだようになる。皮下出血しやすい。 - 関節
過可動性。骨粗鬆症。 - その他
胎児にこの病気があると、胎盤の早期剥離、前期破水による早産になりやすい。
そけい・臍ヘルニアが見られることもある。
治療法
- 古典型
皮膚、関節のトラブルに対しては、激しい運動を控えることやサポーターを装着するなどの予防。
皮膚裂傷に対しては、慎重な縫合を要する。 - 関節可動性亢進型
関節を保護するリハビリテーションや補装具の使用、また疼痛緩和のための鎮痛薬の投与を行う。 - 血管型
定期的な動脈病変のスクリーニングおよびトラブル発症時の慎重な評価と治療が必要。できる限り保存的に、進行性の場合には血管内治療をする。
β遮断薬(セリプロロール)の効果がある。
腸管破裂の発症時には、迅速な手術が必要である。 - 新型
定期的な骨格系(側彎、脱臼)の評価、心臓血管の評価、泌尿器系の評価、必要に応じた整腸剤・緩下剤内服、巨大皮下血腫に対する止血剤投与など
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初版日時: 2016-05-14 (土) 17:32:36
最終更新: 2016-05-14 (土) 18:13:14 (JST) (2901d) by seriza
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